2001年11月7日

厚生労働大臣
坂 口 力 様

東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
財団法人全日本聾唖連盟
理事長 安藤豊喜

聴覚障害者の福祉施策への要望について

時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上にご理解ご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、当連盟は、本年6月10日に新潟県新潟市において第49回全国ろうあ者大会を開催しましたが、この全国大会決議の趣旨に基づき、聴覚障害者の福祉に関し下記の通り要望いたしますので、その早期実現をお願い申し上げます。

1.手話通訳派遣事業等の拡充を図ってください。

(1)  手話通訳派遣事業において、コーディネート担当職員の配置にかかる人件費、手話通訳者の健康管理のための頸肩腕症候群予防の特殊検診にかかる経費を確保してください。
(2)  手話奉仕員養成事業と手話通訳者養成事業において、講師養成・登録試験にかかる経費を確保してください。
(3)  手話通訳者派遣事業と手話通訳者設置事業の一元的運営のため、正規職員の専任通訳者(複数)とコーディネート担当職員を中心とする「手話通訳派遣センター」の設置を制度として創設してください。
(4)  特別事業における手話通訳ネットワーク事業において、依頼者の自己負担を求めないことについて、きちんと通達してください。

2.手話通訳士はその職務から職業的な地位を保障していかなければならないと考えます。公認会計士、税理士、通訳案内業、弁護士等の国家資格と同等の専門性を必要とする職業として手話通訳士試験を国家資格に格上げしてください。

3.聴覚障害者に対して専門的な支援を行っている「ろうあ者相談員」を、今後の障害者ケアマネジメントの中で正当に評価し、相談機関に組み入れてください。

4. ろう重複障害者が安心して生活できるよう、施策の充実を求めます。

(1)  重度・重複聴覚障害者への居宅支援および施設支援を、各都道府県で実施してください。
(2)  ろう盲者へのコミュニケーション支援・移動介助制度を充実してください。

5.「聴覚障害者情報提供施設」を全国に設置するとともに、その機能の拡充にともなう職員の増員と身分保障、および設備の充実を図ってください。

6.補聴機器の支給要件を緩和してください。

補聴器のタイプや性能は日進月歩というべき速さで発達しています。しかし挿耳型交付の判定は厳しく必要な人にも認められないことがあります。また、軽度難聴児には現行の規則では補聴器は認められません。支給要件を緩和し容易に交付されるようお願いします。

7.日常生活用具の機種を現状に合ったものに見直してください。

「CS障害者放送」は聴覚障害者が手話や字幕を通して各種の情報を獲得する上で大切な役割を果たしています。この「CS障害者放送」を受信する専用のチューナーは、CS放送だけでなく字幕アダプターや緊急災害通報等の装置も含まれており、受信アンテナも含めて日常生活用具としての指定を求めます。

以   上