【ICSD eNews 2006年10月号】


◆マーサとオドネがブリティッシュオープンろう者テニス大会で優勝


提出者:グイド・ギオバネッティ(ICSDテニス技術委員)

2006年8月13日
執筆者:マーシャル・トーマス

ジェフリー・カス卿からトロフィーを
授与されるバーバラ選手
イタリアのバーバラ・オドネとハンガリーのガボール・マーサは、ノッティングハム・テニス・センターにおける第3回英国オープンろう者テニス選手権の最終日(土曜日)において、強風という悪条件にもかかわらず、男子シングルス・女子シングルスの優勝を手にしました。

第8シードのマーサは、4つのセットを連取し、ファイナルに駒を進めました。準々決勝では全国チャンピオンのピーター・ウィルコックスを打破し、決勝では、シード外のオーストラリアのグレン・フィンデルを相手に序盤から支配権を握り、フィンデルが最初のゲームをもぎとるまでに、4ー0でゲームをリードしました。フィンデルは、決勝に進むまでに、準々決勝で破ったディフェンディングチャンピオンのアンソニー・シンクレールを含む四人のシード選手から勝利をおさめましたが、第1セットでは調子をとり戻すことができず、才能あふれたハンガリーのマーサに6ー1で第1セットを奪われてしまいました。

第2セットでは、フィンデルが、最初のゲームを奪われたものの、続く2ゲームを連取しました。しかし、マーサは一貫したプレーを続け、第7ゲームでは、二度目のマッチポイントを迎えるまでに、ダブルブレークを勝ち取り、結局6ー1、6ー2で勝利をおさめました。英国オープンは、マーサの最初の国際的なろう者大会のタイトルで、これまでの最高成績は、去年のオーストリア・オープンでの準優勝でした。

女子シングルスでは、5度の夏季デフリンピック優勝経験をもつオドネが、第3シードのドイツのハイケ・アルブレヒトを下し、国際ろう者トーナメントでの驚異的な優勝記録を更新しました。初めてろう者大会のシングルス決勝戦に進出したアルブレヒトは、最初の6ゲームの間に両者とも二ゲームをブレイクする健闘をみせました。しかし、第8ゲームをブレイクした時点で、オドネが試合の流れをつかみ、次のサービスゲームをキープして、第1セットを奪いました。

金曜日の準決勝でのライトン・ベス・シモンズの試合では、決勝同様の強風に見舞われ第1セットを落としましたが、オドネは、第2セットでもうまく風に対応し、5-0とリードを広げました。オドネはマッチポイントを迎えたサービスゲームをおとしましたが、次のアルブレヒトのサービスゲームをブレイクし、オドネは初めての英国オープンで、6ー3、6ー2で勝利をおさめました。

男子と女子のダブルスの決勝戦には、イギリスのペアが進出しましたが、どちらも自国で勝利を飾ることはできませんでした。男子ダブルスでは、マーサがオーストリアのマリオ・カルグルとペアを組み、全英チャンピオンで第1シードのシンクレール(クロフォーズバーン・ノース・アイランド)・ウィルコックス(ティバートン、デボン)組を破り、この日二つ目のタイトルを手にしました。

女子ダブルスの決勝では、元全英チャンピオンのヘレン・コタ(ドンカスター、サウス・ヨークシャー)とサリー・スミスリーがオドネとスザンナ・リッチ・ビッティのイタリアぺアに第1セットで4ー0とリードしましたが、努力は実らず、最終的には、オドネとリッチ・ビッティが7-5、6-2で勝利し、オドネもこの日二つ目のタイトルを手にしました。

ミックス・ダブルスの決勝戦はドイツペア同士の試合となり、第2シードのタチアナ・ヘビングとグナール・ケットがアルブレヒト、ウルス・ブレイトンバーガー組みとたたかい、シード外のアルブレヒト、ブレイトンバーガー組みが6-4、6-3で勝利しました。

全英ジュニア男子シングルスの決勝は、ジェミー・キング(サウスアンプトン、ハンプシャー)が、第2セットでマックス・ソーン(ダンステーブル・ベッドフォードシャー)に2ー4で押されましたが、最終的には6ー2、6ー4で優勝しました。キングとソーンは、ペアを組んでジュニアダブルスの決勝に進出し、ショーン・オブライエン(リバプール、マーシーサイド)とマイケル・ハドリー(ウィンブルドン、ドーセット)を6ー1、6ー0でくだしました。

ジュニア女子のシングルス決勝は、インドのシビ・ジャイスワルが、スウェーデンのファティマ・テビベルを破り優勝しました。今回が最初のろう者トーナメントとなるジャイスワルは、これまでインドの子供たちのための試合イベントでプレーを続けてきました。この週の前半に彼女はふたつのリーグ戦に出場し、負けたのは1試合のみでした。

35才以上のシングルスを制したのは、1999年第一回英国オープンろう者テニス選手権大会を制したアメリカのジェイ・スミスリーでした。スミスリーは、決勝戦でイタリアのピア・パウロ・リッチ・ビティを7-5、6-2でくだし、優勝しました。

リッチ・ビッティとベルギー人のエリック・ソネマンス組は、イギリスのウイリアム・ルイス(オールトン・、ハンプシャー)・ブライアン・ワーリー(ノース・ハロウ、ミドルセックス)組を1ー6,6ー4,6ー4で破り、35才以上のダブルスで優勝しました。

今週の第3回英国オープンろう者テニス選手権大会には、13カ国から80人の世界をリードするろうのテニス選手が参加しました。英国オープンろう者テニス選手権大会は、イギリスろうテニス協会とイギリスろうスポーツ協会の協力を得て、イギリステニス基金の主催で開かれました。本大会は、国際ろう者スポーツ委員会(ICSD)とヨーロッパろうスポーツ組織(EDSO)の規定に基づいて開催されているため、選手は国際ろう者テニスランキング制度のポイントを獲得することができます。

第3回英国オープンろう者テニス選手権大会は、ノッティングハム市議会、オウエン・ブラウン(テント)株式会社、ガローグラス株式会社、キア・モータース、ペニンスプリングウォーターの後援によって開催されました。


戻る