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全日本ろうあ連盟スポーツ委員会による和訳(2010/07/02 掲載)

ICSD eNews 和訳版 2010年6月号

  (ICSDウェブサイトの原文)

目次(一部)

委員長からのメッセージ - 2010年6月

昨年10月に委員長の職に就いてから、蜜月というものは100日間くらいは続くものだけれど、それ以降は本当に大変な仕事が始まるものだよ、と、台北でのICSD評議員会で私に話しかけてきた、評議員の方のコメントを思い出しています。まさしく彼の言うとおりでした!

これは大変な旅路になるだろうと申し上げたいと思います。そしてまた、ICSDにとって、本当に厳しい時になると思います。

10年ほど前と比較しても、今日の技術の発展に伴い、ICSDも急速にオープンで透明性の高い組織となって、より大きな情熱をもって業務に取り組んでいます。ろう者スポーツにとっての最高の成果は、ICSD会員団体、地域連盟、ICSD理事会とスタッフとが、より緊密に協働しなければ実現しません。

グローバルなろう者スポーツの将来について、私たちは現在、根深く、かつ火急の問題に直面しています−グローバル経済の大規模な不確定性、根深い政治・外交上の課題、緊急なろう者スポーツ改革の必要性などです。

このような理由から、私はICSD委員長の職に就くことになりました。なぜなら、私たちが本当に必要としている、強固で安定し、適切なよきガバナンスを、この組織において実現するには、ICSD理事会、スタッフ、地域連盟、評議員のみなさんとともに取り組むことこそが正しい方法だと信じ、かつそのようにしてきたいと望んでいるからです。

2010年4月1日、ICSDにとって初めてとなる戦略計画を、みなさまのもとにお届けしましたが、この計画によって、私たちは共通の利益、かつ、全世界・各地域・各国の利益のために、ともに働くことが出来るという、固い信念に基づいています。私たちが必要とする強いガバナンス、いわば、ろう者スポーツが享受すべき、明るくかつ組織化された未来像を伴う、今こそ必要とされる決断力を持ったガバナンスを得るには、これこそが最良の方法であると信じています。

私はデフリンピック運動を信じるからこそ、ICSDに来ました。最良の日々は、これから訪れることでしょう。そして私は、デフリンピックとろう者スポーツのグローバルな重要性を高めるための、パブリック・サービスを深く信じています。

そのようなパブリック・サービスの成果のひとつが、2015年冬季デフリンピックのバンクーバー開催です。このようなお知らせが出来ることは、喜び以外の何物でもありません。2015年バンクーバー大会組織委員会が発展していく様子を目にすることは、私にとって誇りでもあります。準備が軌道に乗り、その主催組織であるカナダろう者スポーツ委員会(CDSA)による懸命な働きと支援があることでしょう。来る5年間は、彼らにとって充実した時となるに違いありません。

既に私たちの組織は、非常に大きな課題と困難に直面しています。冬季デフリンピックについて、難しい決断をしなければならなくなりました。ICSDには、このような困難な決定を通して、ろう者スポーツ団体を導くという役目を担っています。だからこそ、私たちはともに、よりよい時に向かって進んでいかなければなりません。

私たちはそのために、スロバキアによる、2011年2月の冬季デフリンピックの開催を取りやめるという、最も難しい決断をすることになりました。本来の目的を達するために、私たちはスロバキアに、十分な救命策を提供してきました。そのことは決して軽視できない問題です。そして、解決が現実のものとならなかったことに、私たちは非常に落胆しています。

栄誉あるデフリンピックの場で競技をするという選手たちの夢を無にしないためにも、私たちは多くの時間を費やして働きました。

そのために、私たちは開催国およびその政府との間に、良好な政治・外交関係を促進するよう、前向きに努力をしてきました。

私たちが、これまで明瞭に取り組んできた課題のひとつは、戦略ビジョンへの信頼を再構築することです。そうです、これは正しい理由に基づいて、正しい決断を下すことにつながり、ろう者スポーツ改革に関わることでもあるのです。

改革そのものの一部をなすものとして、私たちは、ろう者スポーツに平等な利益をもたらすことが見込まれる新しいチャンスを検証し、取り入れなければならないでしょう。だからこそ、ICSDとデフリンピックとの関係を向上させ、長期にわたって維持するためにも、世界のろう者スポーツ諸連盟とパラリンピックの類似点を見出し、推奨しなければなりません。

しかし、こうした活動には、より大きな意味があることを、私は信じています。それは、ICSDが出来ること、あるいは、少なくとも達成することを目指して努力するものです。変革は、ICSDが単独でなしうることではありません−ろう者スポーツの中にいるひとりひとりが、自分たち自身に、ICSD会員代表に、それぞれの地域連盟に、ろう者スポーツ協会に対する責任を担っていることを常に忘れることなく、ともに引き出し、ともに集い、ともに取り組むことによってなしうるものです。

ICSD理事会ならびにスタッフは、世界中のろう者アスリートの利益のために、より一層の責任ある組織を作り上げる努力を、休むことなく続けています。ろう者スポーツ改革ウィークエンドは、大きな期待をもって、2010年7月に幕を開けます。この時に、今後3年間にわたる大きな改革の、最初の試みが行われることでしょう。

私は、認知とろう者アスリートの高いレベルに値する、強固な経済基盤を作っていきたいと、以前と変わらず願っています。また、今まで以上に強い力を持った、各地域ろう者スポーツ連盟・各国ろう者スポーツ協会とともに、組織を作っていきたいと願っています。そして、信頼され尊敬される、戦略ビジョンを獲得したいと願っています。

最後になりますが、もう一度、これは厳しい、困難な取り組みになると申し上げたことを思い出してください。私たちが今直面している課題のすべてに関わることでありますが、現実的に、かつ問題に集中し、希望的観測を持ち続けるためにも、団結を維持しなければなりません。

今まで述べてきたことは、私が今も情熱を持ち続けていることであり、関係者の期待する最高のレベルを維持するためのことでもあります。それは、私たちの組織が懸命に取り組んでいることでもあり、ろう者スポーツにとって最良の成果をもたらすために、これからも努力を続けることになるでしょう。

クレイグ・A・クローリー MBE
委員長