【ICSD eNews 2008年7月号】


◆あと365日!台北での2009年夏季デフリンピックに向けて
ボランティアからの質問に答えるポール・ヒューストン氏

ボランティアに国際手話を教えるスーザン・エマーソン氏

ボランティアの初顔合わせで、緊張をほぐすためのゲーム

9月5日に、台北の2009年夏季デフリンピックに向けて365日のカウントダウンが始まります。組織委員会(以下TODC)は、この重大な時点を迎えるにあたって、「国際コミュニティ」の精神に相応しく、世界の友人たちと経験を分かちあい、慶びを共にしたいと考えている。

カウントダウン祝賀会のなかでも最も注目すべきなのは、「ろう招待競技大会」である。9月5日の夕に、337人の、難聴やろうのスポーツ仲間、選手、コーチ、チームのスタッフが台北に集まり、私たちとともに、2009年夏季デフリンピックまであと365日という公式宣言を行うことになっています。開会式でChildren's Hearing Foundation や台北ろう学校の幼い子供たちによるかわいらしいショーが行なわれることでこのスポーツ祭典が始まります。この6日間のイベントはサッカー、卓球、柔道、空手、テコンドーの5つの競技からなり、アルゼンチン、中国、フランス、ギリシャ、香港、イラン、日本、韓国、マレーシア、ロシア、サウジアラビア、タイ、トルコ、ウズベキスタンから260人の選手が集まることになっています。

TDOCがこの「ろう招待競技大会」で楽しみにしているのは、16の中学校の生徒たちの活躍です。各校には、学生親善使節団が結成され、これらグループは、大会に参加する各国のチームに配属されます。彼らは、配属された国の選手たちを開会式からすべての競技において応援することになっています。この若者たちが最良の「親善使節」となるよう、台北教育自治大学の手話ボランティア学生が5月に選抜された高校で手話学習プログラムをスタートさせました。加えて、16人の教師がこの招待競技大会中、各国チームの付き添いとして奉仕するよう任命されました。その人たちは、個々のニーズに対処し、緊急事態に対応し、TDOCとチーム間の連絡を取り持つよう訓練を受けることになっています。この取り組みが成功し、その経験と成果をいかして、最も配慮の行き届いた2009年デフリンピックとなることを願っています。

他に公式カウントダウンを祝うイベントとして、10月に台北のデフリンピックのバスケットボールチームがTaiwan Beer Team とバスケットボールの試合があります。Taiwan Beer Team は台湾でのバスケットボールリーグにおいて2007年、2008年と2回チャンピオンの座を獲得しています。Taiwan Beer Team のファンだけでも世間の興味や注目をかなり集めるでしょう。試合がろうのバスケットボールのルールを取り入れることでさらに面白味を増すのであれば、このイベントはメディアにとってもスポーツのスポットライトのひとつとなるでしょう。

TDOCのデフリンピックへの献身はあらゆる分野での取り組みとなって表れています。スポーツの分野を超えて活動することも躊躇しません。アートディレクターであるスタン・ライは、競技選手、アーティスト、ポップアートの名人といった、様々な分野の難聴者やろう者の人生を語るプロモーションフィルムを考えています。このフィルムでは、彼らの日常生活に焦点を当て、困難、決意、家族や友人や社会から受けた支援を明らかにしようというものです。世間一般に、ろう者の理解を深めてもらうとともに、ろう者の主張や闘いを通して沈黙の精神のなかにあるはかり知れない力を見せてくれることを、そしてさらに、命がけで格闘している人たちに抱負を持たせ、絶望している人たちに希望を与えてくれることを、私たちは期待しています。

難聴者やろう者にとってコミュニケーションはスポーツ競技を成功させるのに極めて重要であるということは周知のことです。TDOCは2009年デフリンピックでも引き続き国際手話通訳のサービスの強化に努めます。オーストラリアの手話通訳者であるスーザン・エマーソン氏を講師に迎えて、4月7−18日の間、国際手話講座が行われました。TDOCスタッフと23人のボランティアがこの手話講座に参加しました。嬉しいことに、彼女の訪問はメディアの注目を集めました。Public Television Serviceやその他8つの主要テレビ局が彼女にインタビューし、手話クラスを取材しました。国内のろうに対する認識を高め、デフリンピックを促進させるのに効果的なものとなりました。続いて6月28日から7月4日まで、ポール・ヒューストン氏を迎えました。ヒューストンはオーストラリアの手話の専門家で、豊富な通訳経験を持ち、1999年から2003年まではICSDの前会長の通訳をつとめました。ヒューストンのクラスは台北デフリンピックの国際手話サービスのレベルアップを目指すものでした。また、そのクラスの受講生は、自らが講師となり、ボランティアやスタッフに基本的な国際手話を教える技術も習得しました。そのため、一般公募ではなく、エマーソンの指導を受けたグループの中から、評価テストに合格した15人が受講しました。

現在進行中の作業とは別に、今、TDOCには優先すべき任務があります。ICSDが10月に訪問します。アモンズ会長とグランフォーズ理事が理事会メンバーやテクニカルディレクターたちのグループとともに10月4日台北に到着することになっています。TDOCとともに1週間を過ごし会場視察や2009年デフリンピックの進行について話し合います。TDOCはそれぞれの状況に応じ詳細の報告を提出するよう委託されています。

会場の状況の視察がICSDの10月訪問の最も重要な目的のひとつである子は間違いありあません。会場の大部分が視察に応じることができるように、最終的に訪問場所は建設業者が建設、改装、修理に取りかかる前、7月の前半に決定する予定です。各会場は改修後に再検査し、会場内のデザイン、施設の配置などが基準を満たすことを確認します。10月にICSDに会場をお見せするときには完璧に近い状態にしたいとおもっています。

TDOCは来る9月の365日カウントダウンを心待ちにしており、ろう招待競技大会の主催のために全力を尽くすつもりです。9月5日には、難聴やろうのスポーツ仲間たちに「準備万事OKです!」と誇らしげに公言するでしょう。


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