【ICSD eNews 2008年7月号】


◆スポーツディレクターより報告
2008年第1回世界ろうサッカー選手権大会(女子)で優勝したロシア・チーム

2008年第1回世界ろうサッカー選手権大会(男子)で優勝したドイツ・チーム

2008年5月22−26日、フランス、トゥルーズにての第13回世界ろう武道選手権大会に行ってきました。この武道選手権大会の種目は柔道、空手、テコンドーです。

この選手権大会はこれまではIMAFD(国際ろう武道連盟)によって実施されてきました。2008年5月22−26日のこの選手権大会は初めてICSDによって行なわれました。残念なことに、IMAFDは現在選手権大会を実行することはできない状態にあります。というのは、IMAFDの活動を積極的に担っているのはイタリアのフランチェスコ・ファラオーネ会長ただひ一人だからです。IMAFDはもはや運営不能と思われます。

ICSDのテクニカル・ディレクター(以下TD)であるダミエン・アントワンヌ(フランス)が柔道、ICSDのTDのフランシス・カレフ(フランス)が空手、ICSDのTDのユングバエ・パク(韓国)がテコンドー、を担当しました。

20カ国から144人以上の選手たちが参加しました。これは、過去最大の参加者数で、新たな記録となりました。いい試合、興味ある試合がたくさんあり、今後もいい選手権大会が期待できると感じさせました。

ICSD副会長のデビッド・レーンズマン、FSSF(フランスろうスポーツ連盟、現在は解散)前会長のイザベル・マローリー、3人のICSDのTD、ダミエン・アントワンヌ、フランシス・カレフ、ユングバエ・パクのご協力に謝意を表したいと思います。

聴者の組織委員会(OC)とろう者の間のコミュニケーションにおいて多くの問題がありました。このような問題にも関わらず、選手たちはたくさんのいい結果を持ち帰ることができ、無事しめくくることができました。

トゥルーズでのろう武道選手権大会のあとすぐ、2008年5月31日から6月9日まで、ブルガリアのソフィアでの第1回世界ろう卓球選手権大会に行きました。卓球のTDであるZsolt Nyiroが見事な仕事ぶりを見せてくれました。来年の夏には台湾でデフリンピックがあるにも関わらず、選手権大会に多数の参加者があったことは、うれしいおどろきでした。22カ国から合計130人の選手が参加しました。総計で17組の男子チームと10組の女子チームでした。参加国全部のすばらしい業績により、引き続き将来もさらなる成功が期待できそうです。

2008年7月2日から12日まで第1回世界ろうサッカー選手権大会がギリシャのパトラスで開催されました。5つの女子チームと15の男子チームが参加しました。男女両方のチームが参加したのはドイツ、ロシア、イギリスのみでした。残念ながら、聴者の組織委員会(OC)が、課された任務の準備を怠ったため、交通手段や練習プランなどがかなりお粗末というような、たくさんの問題がありました。そのために多くのトラブルや混乱がありました。過去10年間、ギリシャのろう者は6つの大きなイベントを計画し優秀な結果をおさめてきただけに、OCのこの準備不足にはかなり面食らいました。世界中からやってきた役員の多くはこの事実を認めるでしょう。ろうのボランティア、ろうや聴者の通訳者たちが一生懸命働いてくれたことが非常に印象に残っています。彼らの大変な仕事や努力は褒め称えるに値します。すべてのチームも興奮できる、そして忘れがたい試合をしてくれました。ロシアの女子チームがドイツチームに勝ち世界選手権大会の優勝チームとなりました。大変な熱戦でしたが、女子たちは最後まで良い、フェアなプレーを見せてくれました。おめでとうございます。最後には、ドイツとトルコの男子チームが決勝に残りました。最後まではらはらする場面があり、見事なゴールがたくさんありドラマティックなペナルティキックもありました。最終的には、ドイツが幸運を手にし、強いが運の悪かったトルコチームに優勝しました。サッカーでトップレベルにある男女たちの業績を簡単にまとめたいと思います。

レフリーがしばしば中立的でなく公明正大でなかったために問題がたくさんあったことを申し上げなくてはなりません。今後は最良の、経験を積んだレフリーを採用すべきと考えます。それによってスタジアムの選手やファンたちの安全を保障しなくてはなりません。

2008年10月4−11日視察ツアーに参加されるTDの皆さんへの注意
すべてのスポーツや会場が最新のレベルにあると評価されるように各自規則を正確にかつ適切に理解しておいてください。何か質問があればご連絡ください。疑問や不確かな事柄すべてを排除することは重要なことなのです。そうすることで、台湾での競技を問題なく進めたいと願っております。

オージオグラムに関する覚書
いまだにオージオグラムに関して問題があります。トゥルーズ、ソフィア、パトラス、など世界選手権大会に行くたびにオージオグラムに関する問題がありました。規則をよくご覧ください。何か疑問があれば、大会の前にこちらに尋ねるか情報をください。会場では遅すぎます。はるばる遠くから競技のためにやってきた選手たちが会場で競技参加の資格がないと聞かされるのは大変酷なことであり不公平でもあります。ろうスポーツ連盟がオージオグラムを取り扱うのがかなり遅いということ、あるいは選手たちがオージオグラムに関する規則を読んでいないか、認識していないことが理由に挙げられます。もしオージオグラムがなければ、選手は競技に参加できません。そのため、今後無駄なトラブルが起きないように、皆さんにオージオグラムの規則を正しく学んで欲しいのです。

最後に、皆さんのご健闘と、いい夏を過ごすことができるよう祈っています。

ジョセフ・ウィルマーディンガー
ICSDスポーツディレクター

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