CISS広報

ラファエル・ピンチャス氏がCISS、ドナルダ・アモンズ、ジェラルド・ジョーダン、ジョン・ロベットを訴えた裁判の背景と最新情報

 このコーナーでは、CISS会員と支援者の皆さまに、継続中のラファエル・ピンチャス氏がCISSと、ドナルダ・アモンズ、ジェラルド・ジョーダン、ジョン・ロベットを含む現職並びに元役員たちを訴えた裁判について、最新情報を背景とあわせてお届けします。
 2001年にピンチャス氏が告訴しました。これに対し被告側は、ピンチャス氏の申し立ては曖昧で具体的証拠がないとして、裁判所に却下を要請しました。裁判所は、ピンチャス氏の申し立ては曖昧であり「具体性に欠け」、告訴内容が立証されておらず、意味なく言葉を並べたに過ぎない、と判決を下しました。これについて裁判所は、法律をいかに原告側に有利に解釈しても、今回の告訴は主張が充分に裏付けられていない、と説明しています。この結果、さらに裁判所は、原告側が法的原則や手続を侵害したとして、申し立てを却下することが正当であると判決しました。
 2002年にピンチャス氏は再度、差別、規則違反、契約不履行と協定の侵害、名誉毀損、共同謀議、署名の捏造について告訴しました。
 ピンチャス氏は2002年9月の宣誓証言の際に、彼が福祉に依存する無職の個人であり、唯一の職務は被告側を彼なりの方法で裁くことだと述べています。また「自分自身が原告となることが私の仕事である」とも証言しています。
 2002年末にピンチャス氏は裁判所に対し、CISS、アメリカろう者スポーツ連盟(USADSF)、ボビー・ベス・スコギンス同会長の、多くの書類や文書を証拠として提出することを要請しました。しかし、被告側はこれに反対しました。双方の言い分を聞いた後に、裁判所はピンチャス氏の要求を却下しました。
 被告人弁護団はピンチャス氏に対し、CISS規則を無視してCISSとその役員を訴えつづけたことから、CISSはピンチャス氏を好ましからざる人物と考える、と伝えました。さらにピンチャス氏に、CISSとその役員、代表者、職員とは一切連絡を取らぬように命じました。
 ピンチャス氏は裁判所に、被告人側の行動を無効にするよう要請しました。あわせて、スウェーデンでのCISS評議員会に代表者として出席できるように、権限を与えるよう訴えました。さらに、CISS役員や職員とも連絡を取れるように要請しています。
 裁判所はピンチャス氏の様々な要求を却下し、裁判所はCISSのような任意会員組織の内部問題には干渉しないと言い渡しました。
 被告人弁護団は裁判所に対し、CISS、アモンズ、ジョーダン、ロベットに略式判決を認めるように要請しました。略式判決とは、裁判所が申し立てや主張をすべて見た上で、審理は不要だと判断した場合に、原告・被告いずれかの側に有利な判決を下し裁判を終わらせる方法です。
 2003年4月中旬に、裁判所はピンチャス氏の訴えをすべて却下し、被告人側に略式判決を認めました。裁判所は、ピンチャス氏が根拠のない主張以外には証拠を示しておらず、原告側の申し立ては「極めて曖昧で不明確である」と述べました。これにより、差別、規則違反、契約不履行と協定の侵害、名誉毀損、共同謀議、署名の捏造に関する2002年のピンチャス氏の告訴は、棄却されました。
 2003年4月中旬、ピンチャス氏は新たに、名誉毀損、差別、共同謀議、規則違反、人権侵害で再度告訴しました。こうして、ピンチャス氏と被告人(ジョーダン、アモンズ)の裁判は未だに続いています。
 「原告側がいかなる行動に出ようとも、CISSは“スポーツを通じて平等に”の精神に基づき理想を追求し、全会員のため公正に倫理的に奉仕するという義務と責任を果たしていく」とドナルダ・アモンズ事務局長が述べています。国際ろう者スポーツ委員会(CISS)は、最も歴史のある障害者の国際スポーツ団体です。CISSは1924年に創立され、国際オリンピック委員会(IOC)の承認を受けており、各国ろう者スポーツ協会により構成され、ろう者9名から成る執行委員会が統括する団体です。