オージオグラムおよび補聴器に関する規則(全日本ろうあ連盟事務局仮訳)
前文
スポーツ精神とは、人間の精神・肉体・心を祝し、以下の価値観によって特徴づけられるものである:
* 倫理感、フェアプレイ、正直さ
* 健康
* すぐれたパフォーマンス
* 人格と教育
* 楽しみと喜び
* チームワーク
* 専心と献身
* 規則や規約の遵守
* 自身および他の参加者の尊重
* 勇気
* コミュニティと連帯
ICSDは、「スポーツによる平等」というオリジナルのモットーを掲げ、オリンピック精神の本質をろう者とわかちあう。
夏季・冬季デフリンピックおよび世界選手権などのICSD認定の競技会には、ろうおよび難聴の選手だけが参加することができる。
正会員、準会員、地域連盟は、国際および国内のスポーツイベントにおいて、以下のオージオグラム規則を遵守する。
参加資格に関する規則:
夏季・冬季デフリンピックは、加盟団体である全国的なろう者組織のろうのスポーツ選手が終結する場である。デフリンピックおよびその他のICSD認定競技会の参加者は、以下のとおりでなければならない:
* 聞こえが良い方の耳の聴力が55dB以上の聴覚障害を有する(500, 1000, 2000ヘルツの三つの純音平均、気導、ISO1969基準)ろう者であること。
* 加盟団体である全国的な組織の会員であり、その国の国民であること。
選手は、競技中、あらゆる補聴機器、増幅器および人工内耳の体外パーツを使用してはならない。スポーツ競技において、音の増幅器の使用が有利に作用することは明白である、そのため、競技中は使用が禁止されている。
第一条:定義およびろう者であることの証明
1.1 「ろう者であること」の定義は、良耳の聴力が55dB以上の聴力障害を有することである。(500, 1000, 2000ヘルツの三つの純音平均、気導、ISO1969基準)55-65dBの境界域の聴力については、慎重に審査すること。
1.2 各選手の聴力審査については、各国のスポーツ協会が全責任を負う。
1.3 各選手は、添付資料1のICSDのオージオグラムの書式を用いなければならない。書式は、http://www.deaflympics.comからダウンロードすることができる。
1.4 全てのオージオグラムは、虚偽偽りのない本人のものでなければならない。オージオグラムの信憑性については、各国のろうスポーツ協会が保障しなければならない。
第二条:オージオグラムの承認手続き
2.1 競技前
2.1.1 全てのオージオグラムを、ICSD事務局に直接送付する。
2.1.2 受領されたオージオグラムは、ICSDのデータベースに入力され、彼らが「自国審査済み」であることを示すために、各国のろうスポーツ協会「NDSF」も入力される。
2.1.3 オージオグラムは、確認のためにICSDのオージオロジストに送られる。
2.1.4 ICSDのオージオロジストが、承認されたオージオグラムを示す。
2.1.5 オージオグラムが承認されると「NDSF」の欄が「ICSD」に変えられる。
2.2 最終登録時(または、その前に)
2.2.1 最終登録用紙と同時、またはそれ以前に、ICSDのデータベースに登録されている全ての当該国の選手のリストを送付する。
2.2.2 最終登録用紙には、ICSDのID番号の欄がある。
2.2.3 ICSDのデータベースに登録されている選手は、当該箇所にICSD ID番号を入力する。該当する選手は、オージオグラムを提出しなくてもよい。
2.2.4 当該選手がICSDの審査済みとデータベースに記されている場合、それ以上の審査は必要がない。
2.2.5 当該選手がNDSFの審査済みとデータベースに記されている場合、その先週はICSDの審査を受けなければならない場合がある。
2.3 デフリンピックにおいて(他のICSD認定の大会において)
2.3.1 選手の審査時間を確保するのは、チームリーダーの責任である。(2.2.5,2.2.6参照)
2.3.2 予約を守らなかった場合、料金が課せられる。
2.3.3 オージオグラム規則にしたがってテストを受けずに大会会場を後にした選手は、参加資格を失う。
2.3.4 ICSDは、すでに承認を受けている選手であっても、いつでも審査をおこなう権利を有する。
第三条:大会中の聴力テスト
3.1 ICSDの役員および技術委員は、大会中、オージオグラムを提出するように求めることができる。選手は、最終の試合の終了後、同日あるいは次の日に審査を受けることができる。
3.2 オージオグラム審査は、試合のスケジュールを邪魔したり、変更させたりしてはならない。
3.3 チームリーダーは、決められた時間にICSDのオージオロジストと会い、選手に審査を受けさせる。リーダーと選手は、パスポートまたはIDを持ってくること。
第四条:責任
4.1 試合中にいかなる増幅器も用いないようにすることは、各選手の自己責任である。
4.2 試合会場にはいる際、全選手が補聴器や増幅器をはずしておくことを、強くすすめる。試合前の練習には、すべての選手が補聴器をはずさなければならない。
第五条:発覚した場合
5.1 もし選手が、試合中に補聴器または増幅器を着用しているのを見つけた場合、ただちに、当該スポーツの技術委員と異議申し立て委員会にその旨を報告しなければならない。当該試合において承認を受けているリーダーおよびトレーナーだけが、補聴器・増幅器の装用について異議を申し立てることができる。
5.2 補聴器・増幅器の使用が発覚した場合、技術委員および異議申し立て委員会と関係するチームリーダーおよび目撃者は、可能であればすぐに試合を中断すること。それができない場合はレースを終了させるか、審判に中断させるようにする。
第六条:違反と罰則
6.1 違反
6.1.1 個人競技の選手が補聴器・増幅器を使用した場合、当該選手は即時に競技から除外されなければならない。当該選手が他のスポーツや他の種目にも登録している場合、選手は、違反かおこなわれた種目についてのみ失格となる。
例A: 陸上競技:選手が100m、200m、400mに登録していたとする。その選手は、200mのレースで補聴器をつけているところを見つかった。このことは、この選手の100mおよび400mには、影響しない。リレーで違反がおこなわれた場合、リレーチーム全員が失格にある。
例B:バドミントン:選手がシングル、ダブルス、ミックスダブルスに登録していたとする。その選手は、ダブルスの試合で補聴器を使用していることが見つかった。このことは、その選手のシングルおよびミックスダブルのパフォーマンスには関係しない。もし違反がチーム競技でおこなわれた場合、そのチーム全員が当該種目から失格になる。
6.1.2 チーム競技の選手が競技中に補聴器を使用していた場合、各競技の試合没収に関する規則にしたがって、試合が没収されて、チームは負けることになる。選手は、次の試合には、自由に参加することができる。試合の得点状況によっては、負けることが返って有利になる場合がる。このことを考慮にいれ、チームがゲーム没収のために得をするようなことは決してないようにしなければならない。
6.1.3 選手が違反を繰り返した場合、当該選手とチームは、すぐに大会から除外され、ICSDに報告され、執行委員会が定める一定期間出場停止になる。
6.2 ペナルティ
6.2.1 これらの規則に違反した場合、失格した選手と(あるいは)に授与されたすべての賞品、賞、メダル、証書が取り消される。
6.2.2 もし各国のろうスポーツ協会が一度以上、上記の第一条または第二条の違反を繰り返した場合、ICSD執行委員会は、当該ろうスポーツ協会を、2年から4年の間、ICSDに関連したスポーツ種目に対して参加停止を命じる場合がある。
6.2.3 各国ろうスポーツ協会が資格を失っている間、ろうスポーツ協会とそのチームは、ICSDにかかわりのあるスポーツイベントに参加することはできない。