デフリンピックの発展に向けて 〜講演会に秋篠宮妃殿下がご臨席〜

(テキスト本文は日本聴力障害新聞2006年7月1日号7面より転載)

 国際ろうスポーツ委員会初の女性委員長、ドナルダ K・アモンズ委員長による講演会が、5月21日、都内にあるホテルJALシティ田町にて、秋篠宮妃殿下紀子様ご臨席のもとおこなわれました。
 紀子様が会場に入場する際、アモンズ委員長にアメリカ手話で「楽しくお話しできてうれしいです」とお言葉をかけられました。
 講演に際し、全日本ろうあ連盟の安藤理事長は「最近は聴覚障害者の社会参加の広がりなどで国民への理解が広がりつつありますが、スポーツに関しては不十分な点があります。今回は国内・国際的なろうあ者のスポーツ活動に対する理解を広めることを目的として、アモンズ委員長にお越しいただきました。お話を今後にいかしていきたいです」とあいさつをしました。
 講演のテーマは「デフリンピックの発展」について。200人ほどの参加者を前に、デフリンピックの歴史や課題について、スライドを使いながら講演をおこないました。アメリカ手話で話されるアモンズ委員長の話を日本の手話に通訳、読み取って音声に通訳する形で進められました。

【講演の概要】
 デフリンピックは夏季大会と冬季大会があり、夏季大会は1924年にフランスで、冬季大会は1949年にオーストリアで始まり、それぞれ4年に1度開催されている歴史の古い大会です。設立当初は「国際ろう者競技大会」という名前でしたが、その後の運動が評価され、IOC(国際オリンピック委員会)の承認を得て、2001年から現在の「デフリンピック」という名前になっています。
 現在では加盟95カ国、昨年おこなわれたメルボルン大会では75カ国から2300人の選手が参加し、国際的な交流も広がっています。
 デフリンピックの今後の運営課題は@インターネットなどを活用した情報提供Aパートナーやスポンサーの拡大Bパラリンピックとの対等な関係作りです。
 講演の最後にアモンズ委員長はろう者スポーツ発展のために、デフリンピックをもっと多くの人に知ってほしいと訴えました。また、IOC公認の組織としてのステータスを確保するためにも、よりいっそうの広報活動が必要ですと締めくくりました。
 質疑応答の時間では、関心を持った参加者からはパラリンピックとデフリンピックの関係についてやデフリンピックのあり方について積極的に質問が出されました。
 当日は来年2月にアメリカのソルトレークシティーでおこなわれる第16回デフリンピック冬季大会の第一次内定選手が発表され、内定選手を見ようとスクリーンに身を乗り出す参加者もいました。