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【全日本ろうあ連盟翻訳】

国連障害者の権利条約および選択議定書

国連本部

経済社会局(DESA)・人権高等弁務官事務所(OHCHR)における協働プログラム

2007年11月9日

原文 PDFファイル
はじめに

2007年4月、国連事務総長は、障害者の権利条約(以下「権利条約」)の付帯支援の責任に関する指名に同意した。権利条約委員会に対して実質的かつ技術的なサービスを供給する部署として、人権高等弁務官事務局(OHCHR)が指名され、締約国会議へのサービス提供部署としては、経済社会局(DESAが指名された。

この協働プログラム案は、DESAとOHCHRの良好な任務遂行関係を促進すること、また権利条約ならびに選択議定書の履行とモニタリングにあたって、最も行き届いた効果的な支援を行うことを目的に提案された。

この協働プログラム案は、両部署間の関連業務における専門エリアを念頭に開発された。

DESAにおける障害分野の業務は、国連社会政策・開発局の業務範囲と共通している。現行のプログラムにおける業務は、(a) 国連総会、社会開発委員会、権利条約の締約国会議に関する会合における付帯支援の提供、(b) アドヴォカシーおよび能力開発の主導、「障害者世界行動計画」、「障害者の機会均等化に関する基準規則」、ならびに「権利条約」に関する義務事項のモニタリングと報告、(c) 国連障害者のための任意拠出基金の管理と支給、(d) 会員国、非政府組織、その他障害分野に関わる国連組織および協力団体とのコミュニケーションおよび協力、(e) 社会開発委員会における、障害分野の特別報告者の業務の支援、(f) 国際障害者の日に関する計画ならびにコミュニケーション、等が含まれる。

人権高等弁務官は、事務総長の指揮の下、国連の人権活動における主要な責任を有する国連の職員である。高等弁務官は、国連制度下における人権促進・擁護活動の調整および、国連人権稼働制度の実現、採択、強化ならびに主流化の十分かつ効果的な機能向上など、広範な責任を有する(A/RES/48/141)。国連総会は、高等弁務官の義務遂行を支援することを目的にOHCHRを設立した。その責務には、政府間および、人権分野に関する専門機関、さらに各人権条約機関への支援を提供し、国連制度における人権問題の主流化を進めることが含まれる。

現在、人権と障害に関するアドバイザーは、OHCHRにおける権利条約の働きの中心となっている。アドバイザーは、人権と障害の両課題を、国連の人権機能制度および、他の関連機関において主流化させる道を模索している。その方法として、高等弁務官を通しての、障害者の権利のアドヴォカシー促進、現地駐在国連機関および関係者を通しての国レベルの取り組み、障害を人権の問題と位置づけることを促進するための、市民社会団体と政府間機関の協力確立、ならびに、さまざまな人権機関、わけても特別な手続きと現存する人権条約機関を通じて、人権と障害の問題の主流化が挙げられる。権利条約ならびに選択議定書が発効してからは、OHCHRの「条約と委員会部門」は、技術的ならびに実質的な支援を、権利条約ならびに選択議定書の下の義務履行に従い、関連する会議に対して提供しなければならない(報告、コミュニケーション、質疑等)。

DESAとOHCHRは、障害者の権利を促進し、最大限の利益を享受を可能にするための、現在の業務において、相補的な役割ならびに専門エリアを有している。例を挙げると、理論的には、両機関は重複する分野の専門性を有しているが、OHCHRは主に人権分野を担い、DESAは経済・社会開発分野を担当している。地理上も、OHCHR本部はジュネーブに拠点を置き、現地国連機関とコンタクトを取っているが、DESAはニューヨークをベースに、現地関連機関へのアクセスを有している。OHCHRは現地駐在監視団(OHCHR事務所、人権アドバイザー、平和維持活動人権部門)を持ち、31ヶ国に9現地事務所を有しているが、DESAはかねてより、地域事務局と密接な関係を維持している。

現行の業務計画は、いずれの機関の活動の制限、もしくは条約の批准と実現に関する、協調した行動に向けての役割と専門分野を制御することを目的としたものではない。

協働プログラム

事務局の支援

DESAは締約国会議における付帯支援の提供に、またOHCHRは障害者の権利条約に関わる委員会における付帯支援の提供に、それぞれ第一の責任を持つこととする。締約国会議において委員会のメンバーを選出する場合、法務局に照会しながら、OHCHRが選出過程の組織・支援を行う。この点において、OHCHRはこの手続きにおける暫定規則の起草を行う。

職務

障害者の権利条約に関わる業務を行うDESAとOHCHRの職員は、「障害者の権利条約に関する国連事務局」を構成する。

情報の共有

障害分野に関する業務を行っている、DESAとOHCHR内の各グループや委員会は、それぞれの業務計画を、年次ごとに共有する機会を持つ。

委員会に関する関連情報、ならびにその成果(総括的観察事項、一般コメント、コミュニケーションに関する決定事項、各種質疑に関する情報等)は、DESAとOHCHRに定期的に供給される。

締約国会議の事務局は、締約国会議の関連情報(セッションの結果、セッション間会議の案内、非公式な照会事項等)をOHCHRに定期的に報告する。

専門性の共有
OHCHRは、締約国会議の会合に、適切なレベルの職員を出席させる手配を行う。セッション間会議や非公式照会においては、OHCHRニューヨーク事務所のスタッフが、現在の仕事の量も考慮した上で、OHCHRの代表の役割を果たす。

DESAもしくはOHCHRが専門家会議を開く場合、各機関は関連分野の専門家を適切に派遣する。

重複事項の回避
DESAとOHCHRは、活動の重複を避けるために調整を行う。適切な状況において、いずれかの機関の職員一名が、障害者の権利条約に関する国連事務局員という立場を維持しながら、もう一方の機関の見解を提示することができる。しかしながら、当該活動の自然な流れにおいて、両機関の参画が要求される場合は、活動の重複とはみなされない(例えば、組織間会議など)

関係機関間の調整
関係機関間の調整ならびに、市民社会諸組織との調整は、権利条約にとって重要な側面を持つ。DESAは、高レベルプログラム委員会(HLCP)より、権利条約に関する業務の関係機関の間の調整を行う義務を遂行するよう委任されている。OHCHRは、ジュネーブに拠点を置く各機関や団体(例:ジュネーブに拠点を置く団体との、非公式なブリーフィングセッション等)との協働・調整も含めて、DESAのこの業務を補佐する。

協働プログラム案の改訂
この協働プログラム案は、署名から2年後に改訂される。

(署名)
シャ・ザーカン
国連事務次長
経済社会局
日付
ルイーズ・アルベール
国際連合
人権高等弁務官
日付

掲載日 2009年6月26日
財団法人 全日本聾唖連盟

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