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※全日本聾唖連盟による仮訳

人権委員会決議 E/CN.4/2002/L.84
特定集団と個人:その他の弱い立場の集団と個人


国連 経済社会理事会

人権委員会
第58会期  議題14項(d)
E/CN.4/2002/L.84
2002年4月17日

原文:英語

特定集団と個人:その他の弱い立場の集団と個人

アルバニア*、アンゴラ*、オーストラリア*、オーストリア、バングラデシュ*、ベラルーシ*、ベルギー、ボスニア・ヘルツェゴビナ*、ブラジル、カメルーン、カナダ、コロンビア*、コンゴ*、クロアチア、キプロス*、チェコ共和国、デンマーク*、エクアドル、赤道ギニア*、フィンランド*、フランス、ドイツ、ギリシャ*、グアテマラ、アイスランド*、アイルランド*、イタリア、ルクセンブルグ*、マダガスカル*、マルタ*、モーリシャス*、メキシコ、 オランダ*、ニュージーランド*、ノルウェー*、ペルー、フィリピン*、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア*、スロベニア*、スペイン、スーダン、スウェーデン、スイス*、タイ、旧ユーゴスラビア・マケドニア共和国*、チュニジア*、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国:
決議案

2002/… 障害を持つ人々の人権

人権委員会は、

生活の質の向上、完全雇用、経済的・社会的進展と開発を可能にする環境を促進するため、国連憲章に基づいて国連と協力し、共同あるいは単独で行動を起こすと言う各国政府の誓いを考慮し、

「世界人権宣言」、「経済的、社会的、及び文化的権利に関する国際条約」、「市民的及び政治的権利に関する国際条約」、「子どもの権利条約」、「女性に対するあらゆる形態の差別撤廃に関する条約」、「国際労働機関(ILO)第159号条約(1983)(障害者の)職業リハビリテーション及び雇用に関する条約」などが定めるとおり、全ての障害を持つ人々が差別から保護され、完全で平等に人権を享有するべきであることを想起し、

障害者に関する世界行動計画の第三次評価と見直し(5年ごと)に関する、国連総会での事務総長報告(A/52/351)を想起し、

国連総会第37会期において採択された障害者に関する世界行動計画が、障害を持つ人々の人権を促進し、保護するための確固とした、革新的な構想を提供していることから、継続してその有効性と重要性を再確認し、

1990年以降の主立った国連会議やサミットにおいて定められた障害者の人権と基本的自由に関わる公約と、それらのフォローアップの過程を想起・再確認し、又、それらの実施にあたる際、障害問題を社会主流化することの重要性を強調し、

2000年4月25日の決議2000/51を再確認し、

障害者の機会均等化に関する基準規則を採択した1993年12月20日の総会決議48/96を想起し、

2002年2月21日の社会開発委員会で採択された、「障害者の権利及び尊厳の保護及び促進に関する包括的かつ総合的な国際条約」に関する決議を認識し、

現存する国際基準の質の高さとの一貫性を保つことに専念し、新しい国際基準を設ける際のガイドラインを明確化し、総会決議41/120及びウィーン宣言段落II.6とその行動計画、とりわけ新基準案を策定する際に人権条約機関の諮問を受ける必要性があるということについて、総会決議56/168によって発足した特別委員会の関心を向け、

社会開発委員会の特別報告者による「障害者の機会均等化に関する基準規則」の2000〜2002年の実施状況のモニタリングに関する最終報告(E/CN.5/2002/4)を認識し、

障害者の機会均等化を、障害者自身により、障害者のために、そして障害者とともに更に促進、これらの人々の人権を保護するという、2002年2月21日の社会開発委員会の決議を歓迎し、

障害者に関する国際会議の積極的開催を歓迎し、

障害者の社会への完全統合と参加を阻む障壁や障害物を取り除き、あるいは取り除くことを容易にし、これらの人々が特定の目標に向けて国の政策を開発しようとする努力を支援する義務が政府にあることを更に強調し、

障害を持つ人々の完全参加と平等を実現し、これらの人々が人権を完全に享有できることを保障するための世界規模の取り組みへの非政府団体、とりわけ障害者団体の貢献を認め、

国際労働機関(ILO)第159号条約(訳注:障害者の職業リハビリテーションおよび雇用に関する条約)の批准国の法律、実施状況の調査を踏まえ、

1999年6月7日に米州機構が採択した「障害者差別撤廃米州条約」を地域模範の取り組みの例として興味深く注目し、

欧州共同体が、障害やその他の理由による差別を撤廃するために適切な方策を取ることを可能にした、1997年のアムステルダム条約がもたらした変革も興味深く注目し、

対人地雷の見境のない使用が、特に民間人の間に多くの障害者を生み出している事実を懸念し、

1. 平等の原則に違反する行為、「障害者の機会均等化に関する基準規則」に反する一切の否定的、差別行為は障害者に対する人権侵害であると認識し、

2. 社会における障害者の権利、機会均等化、完全参加を推進するために、「国連障害に関する任意拠出基金」を含む、障害者に関する全ての国連プログラムの誠意を維持するよう事務総長に呼びかけ、

3. 社会開発委員会の障害問題特別報告者の貴重な仕事及び同委員会の第40会期における特別報告者の報告を歓迎し、特別報告者からの将来の取り組みに対する提言と障害問題を社会主流化するという提案を支持し、

4. 社会開発委員会特別報告者を人権委員会第59会期に招き、彼の任務の人権に関わる側面について報告を依頼し、又、彼自身と彼のパネルの委員が基準規則のモニタリングを通じて得た、人権関連の経験を人権委員会に定期的に報告するよう要請し、

5. 障害問題特別報告者の事務局と世界保健機構が合同で行った第三次世界調査を想起し、

6. 各国政府には、社会開発委員会の特別報告者が望む情報を提供するなど全面的に協力し、関連データを「経済的、社会的、文化的権利委員会」に提出するように呼びかけ、

7. 人権委員会の第58会期に提出された「人権と障害に関する研究」を歓迎し、そこに記載される勧告に、各国政府、国連機関、非政府団体、その他関連団体の関心を向け、

8. 「人権と障害の研究」の勧告の中から関連事項の実施を検討するよう、人権高等弁務官事務局に呼びかけ、

9. 政府が、条約監視機関のメンバー選出する際、これまで推薦対象として検討されている候補者を念頭に置き、障害を持つ人自身を推薦するよう要望し、

10. 特別委員会(アド・ホック委員会)を設置し、「障害者の権利及び尊厳の保護及び促進に関するする包括的かつ総合的な国際条約」の検討を進めるとする、2001年12月19日の国連総会決議56・168を関心深く注目し、

11. アド・ホック委員会に対し、人権関連文書及び人権メカニズムと基準規則の関連性を考慮し、その際に社会開発委員会第40会期における同委員会の特別報告者による報告と提案をも入念に検討するよう勧告し、

12. 人権委員会第58会期に提出された「人権と障害者に関する研究」を、アド・ホック委員会も利用できるようにすることを、高等弁務官事務局に要望し、

13. アド・ホック委員会に委託された任務に対して、各国政府、人権関連条約機構を含む各国連機関、地域委員会、社会開発委員会の特別報告者、政府間組織、非政府組織などが、国連の慣行に従い情報提供することを歓迎し、

14. アド・ホック委員会の検討課題に関して各国内機関からの情報提供も奨励し、

15. アド・ホック委員会が任務を遂行するにあたり、関連NGOの完全参加を可能にする手法を導入することを併せて奨励し、

16. アド・ホック委員会に対して、ジュネーブで開催される人権委員会第59会期の前に最低一回は会合を開き、以後定期的な会議を開催し、人権委員会に中間進捗報告を行なうことを奨励し、

17. 人権高等弁務官事務局内に障害の人権に関する質問を受け持つことを主な目的とする中心的担当者を任命すると言う事務局の決定を感謝し、

18. 人権高等弁務官事務局に対して、人権委員会第58会期に提出された「障害者の人権に関する研究」に記される勧告の実施状況と、障害者に関する事務局の取り組みの計画を人権委員会第59会期において報告するよう促し、

19. 障害者の人権の促進と保護に活発にかかわるNGOが互いに密接に協力し合い、関連情報を「経済的、社会的、文化的権利委員会」及び人権高等弁務官事務局に提供するよう促し、

20. 更に、このようなNGOが人権高等弁務官事務局の技術的支援を受けることで、人権関連の活動をより効果的に行なうことを奨励し、「障害者の機会均等化に関する基準規則」の規則18に従い、障害者の人権の促進と保護に関わるNGOを政府が支援することを奨励し、

21. 障害を持つ人々が個人、あるいは集団として、障害者団体を設立し、その会員になる権利を認め、又このような団体がその会員の法的な代表として発言し、活動することを認め、

22. 全ての人権条約監視機関に対して、政府が人権関連文書・メカニズムに従い、障害者が全ての権利を享有できることを保障し、その政策課題の計画及び結果観察に適切な形で障害関連課題を取り上げていることを積極的に監視することを促し、「経済的社会的及び文化的権利委員会の結論的見解No.5」に加えて、障害を持つ人々の人権に関する見解書を作成し、障害問題のメインストリーミングのモデルとすることを要請し、

23. 当該国連人権文書・メカニズムに従い、報告を作成する際、各国政府が障害者の人権問題を完全に調査・報告することを要請し、

24. 全ての特別報告者がそれぞれの任務を遂行するにあたり、障害を持つ人々のおかれる状況と人権を考慮することを歓迎し、

25. 各国政府が、関連組織の協力と支援を得て、「障害者の機会均等化の基準規則」を実施し、その際、特に発達及び精神障害を持つ女性、子ども、その他の人々の人間としての尊厳と高潔さを保障する配慮をするよう要請し、

26. 「障害者に関する世界行動計画」の理念に基づき、基準規則を実施するための追加支援として、政府、市民社会、民間セクターに対して、「国連障害に関する任意拠出基金」ヘの寄付を呼びかけ、

27. 2000年以降までの「世界行動計画を実施するための長期戦略」が効果的に機能するよう、継続的に適切な支援を保障することを事務総長に要望し、

28. 武力闘争が障害者の人権に対して、破壊的な結果を生み出していることに深刻な懸念を抱き、

29. 対人地雷の廃絶に関する国際的な活動の増強を歓迎し、「対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約」及び改正された「非人道的兵器を規制する特定通常兵器禁止・規制条約(CCW)」の第二議定書の締結と実施に注目し、

30. 各国政府及び「地雷撤去支援のための任意拠出基金」を含む当該国連機関に対して、国際的な地雷撤去作業に継続的な支援をし、性別、年齢別に応じた地雷認識プログラムとリハビリを促進することにより、地雷の犠牲者の数と被害を軽減することを呼びかけ、

31. 障害者が社会のあらゆる面に完全参加できるよう、その能力開発を可能にする計画を奨励し、

32. 障害を持つ人々の人権が完全に認められ、彼らがその人権を完全に享有できることを保障する努力の進捗状況を、毎年事務総長から国連総会に報告されることを要望し、

33. 社会開発委員会・障害問題特別報告者の「障害者の機会均等化に関する基準規則」のモニタリングに関する最新報告の内容を、人権委員会第59会期の席上、事務総長から発表するよう要望し、

34. 国連開発計画(UNDP)、及びその他全ての開発協力のための政府間組織に対し、その通常活動に障害者対策を統合し、このことを活動の報告にも反映させるよう提案し、

35. 全ての国連組織及び専門機関が、あらゆる場面で障害者の機会均等化の妨げとなる問題に対処し、これらの問題の解決に向けての取り組みを報告するよう要望し、

36. 各国政府が障害を持つ子どもと大人のために適切な教育政策や活動を開発し、貧困撲滅、教育の推進、雇用の拡大などを目的とした政策や計画に障害者を含め、障害を持つ人も住居、保健、保護、移動、補助機器などの権利を有することを認識することを奨励し、

37. 国際労働機関が各国政府、政府間組織と協力し、就労機会の均等化につながる政策や戦略の立案に関して、国際的なリーダーシップを発揮することを促し、

38. 平等に関する課題を解決する為の効果的な政策を立案するために各国政府及びNGOが障害を持つ人々の状況に関する適切な情報やデータを収集・照合することを促し、

39. 人権高等弁務官事務局に対して、社会開発委員会障害問題特別報告者が収集した情報のうち、障害者の人権に関する法律の情報を検討することを勧告し、

40. 多国間開発機関に対し、それぞれがスポンサーし、資金援助する計画が、基準規則に則って、アクセス、その他障害者の権利に関する点に十分に留意することを求め、

41. 障害をもつ人々の人権に関する使命を再認識し、これらの人々が社会の全ての場面に完全参加できるための取り組みが全ての事業に反映されることを再確認し、

42. この課題を委員会第59会期にて同じ議題項目の中で継続討議することを決定する。

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* 経済社会理事会の機能委員会の手続きの規則69、第3段落に従う。
GE.02-13028 (E) 190402


人権委員会決議 E/CN.4/2002/L.84<
特定集団と個人:その他の弱い立場の集団と個人
最終更新 2002年5月21日
財団法人 全日本聾唖連盟

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