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※2002年6月25〜28日開催の専門家グループ会議(バンコク)資料の抜粋・抄訳

障害者にとって包括的で、人権が尊重され、障壁のない社会を目指す
琵琶湖ミレニアム行動計画(案)

2002年6月28日
バンコク国連ESCAP専門家会議にて採択


基本方針:

(1) 教育、情報と通信、訓練と職業などに関する分野における障害者の権利を保障し、障害者の機会均等化を促進する法律や施策の整備を行う。これらの法律や施策は男女双方、遠隔地や農村部に暮らす人も含めて、すべての障害者を網羅すべきである。

(2) それぞれの国の国内開発施策や計画に、人権に基づく、包括的で、多部門に亘る障害者施策を含むべきである。

(3) 各国に障害問題国内調整委員会を設置、強化する。この委員会は障害に関する施策を開発し、実施状況を調整、監視する。この委員会には効果的な数の障害者や障害者団体が代表されるべきである。

(4) 障害者団体の発展を支援し、障害者に関する国内施策の決定過程にこれらの団体が参加できるようにする。特に女性の障害者を重点的に取り上げ、障害者の自助団体の活動や一般(メインストリーム)の女性差別撤廃運動にも障害を持つ女性が参加できることを保障する。

(5) 国連ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals)の達成を目指す取り組みに障害者自身が中心的な役割を果たすことを保障する。特に貧困軽減、初等教育、ジェンダー、青年の就労などにおいてこのことは重要である。

(6) 国の障害者施策の策定、計画実施に役立てるため、障害者に関する統計的データの収集、分析力を強化する。

(7) 教育、保健、リハビリテーション、社会サービスなどを含む多部門において早期介入(early intervention)の施策を導入する。0歳〜6歳までの障害を持つ子どもや、障害を持つ大人の場合も、障害が発見されてからできるだけ早い時期に介入を開始すべきである。

(8) 障害の原因予防、障害者のリハビリテーション、機会均等化などを地域ベースの取り組みとして強化する。

(9) インフラやサービスの開発、都市部や農村部の開発、住居、交通、情報通信、その他の分野において、インクルーシブで費用効率の高い方法で、すべての人々にとって利用可能なユニバーサル・アクセスの理念を導入する。

重点課題:

琵琶湖ミレニアム行動計画は、アジア太平洋障害者の十年、1993−2002の間に進展が不十分であった分野、さらに行動が必要な分野に焦点を当て、下記の重点課題を確認している:

(1) 障害者の自助団体

目標1:政府,国際資金提供団体、NGOは2004年までに資金面、技術面の支援を提供し、障害者の自助団体の促進を図る。
目標2:政府と民間社会は2005年までに障害者の生活に影響を及ぼすすべての計画の策定、実施に障害者団体が参加できるようにする。

(2) 障害を持つ女性

目標3: 2005年までに国の(メインストリームの)女性組織に障害を持つ女性も完全に参加できるようにする。
目標4: 障害者の自助団体は2005年までに組織運営、研修、権利擁護運動など、組織のすべての活動に障害を持つ女性も完全参加できるようにする。

(3) 早期介入と教育

目標5: 2010年までに障害を持つ子ども、青年の最低半分は完全な初等教育を受けられようにする。

(4) 訓練と職業

目標6: 2010年までに、就労年齢に達している障害者のうち最低半分の人が職業訓練、就労、自営などの機会にアクセスできるようにする。
目標7: すべての職業訓練プログラムに障害者が含まれ、適切な支援、就職サービスが提供されるようにする。
目標8: すべての政府がILO条約159に署名するよう促す。

(5) 物理的環境へのアクセス

目標9: 2005年までにすべての政府は都市部や農村部のすべての公共施設、公共交通手段へのアクセスに関する基準を設け、それを実施する。
目標10:新たに設けられたり、手直しされる交通システムは障害者や高齢者に完全にアクセス可能に作られるべきである。また現存の公共交通システムも2012年までにアクセス可能にするべきである。

(6) 情報と通信技術へのアクセス

目標11:2005年までにインターネット、その他の関連サービスをすべての人にアクセス可能にする。
目標12:政府は2004年までに国のIT 施策に障害者のアクセシビリティーに関するガイドラインを設ける。
目標13:国際情報通信団体(ITU, ISO, WTO,WWW,など)は2004年までにそれぞれの国際情報通信基準に障害者のアクセス基準を設ける。

(7) 社会保障と生計を立てる手段による貧困軽減

目標14:政府は1990年と2015の間に,一日の収入が一ドル以下の障害者の数を現在の半分にする。

琵琶湖ミレニアム行動計画(案)
最終更新 2002年7月13日
財団法人 全日本聾唖連盟

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