外務省に国連およびアジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)関連の
会議に係る情報保障について要望

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 外務省は連盟の要望に対し、「情報保障の話しを重く受け止めた。しっかりとESCAP(アジア太平洋経済社会委員会)に対し、しかるべき配慮ができるか事務局に働きかけたい」との回答を得ました。

外務省 外務省

連本第170257号
2017年7月10日

外務大臣
 岸田 文雄 様

東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理 事 長 石野 富志三郎

国連およびアジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)関連の会議に係る
情報保障について

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上にご理解ご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、当連盟は、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)が開催する、2013-2020年アジア太平洋障害者十年に関するワーキングループ会合に、初回の2014年から、世界ろう連盟アジア地域事務局事務局長を派遣しています。
 初めの2回(2014年と2015年)は、会議での情報保障のために、日英の音声通訳に加えて、ろうの参加者のために日本語-日本手話言語の手話通訳、盲ろうの参加者のための触手話通訳の渡航・宿泊・謝礼などを、ESCAP及び開催国政府が全額負担していました。しかし、最近の2回(2016年と2017年)は、予算不足を理由に、通訳者の渡航・宿泊・報酬を含め、会議での情報保障にかかる費用の自己負担を強いられており、この状況は改善されていません。
 このような事態は、2006年に国連で採択し2014年に日本が批准した、「障害者の権利に関する条約」に違反するものであり、国連の組織としてあってはならない由々しき問題であると考えます。
 2017年7月には、米国ニューヨークで、持続可能な開発のためのハイレベル政治フォーラム(HLPF2017)が開かれます。この会議に向けて、国連の諮問団体の一つである国際障害同盟(IDA)を中心に、アクセシビリティに関するワーキンググル-プが結成され、2017年4月に添付の文書によりアクセシビリティに関する勧告を各国政府に送付しました。このアクセシビリティ勧告では、
 ・国際手話とリアルタイム字幕(CART)の提供
 ・アクセシブルな形でのフォーラム資料の提供(モバイルデータを含む)
 ・文字拡大ソフトの提供
 ・通訳者への資料の事前配布
などアクセシビリティに関する体制構築の支援についてリーダーシップをとるよう各国政府に要請しています。
 前述のESCAPのアジア太平洋障害者十年に関するワーキンググループ会合も2018年3月に開催されます。これらの国際会議に、日本国民であるろう者や盲ろう者が代表として、出席・参加することは大いに意義がありますが、これらの国際会議にろう者や盲ろう者が参加するためには日英通訳、手話通訳、触手話通訳などの情報保障が必要不可欠です。障害当事者が会議における情報にアクセスするために必要な手段を手配するためにかかる費用を当事者に求めるのではなく、開催国及び開催団体が負担するよう日本政府も率先して支援してください。

国連およびESCAPの関連会議に日本から障害当事者が参加する際に、障害当事者の負担とならないよう、国連、ESCAP及び開催国に日本政府から強く申し入れると共に、国としての助成を検討してください。

以上

・【添付】アクセシビリティに関する勧告

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