総務省に電話リレーサービス及び
聴覚障害者の参政権の保障について要望書を提出

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 全日本ろうあ連盟は、電話リレーサービスの国の制度化を求めました。総務省として、現状はスマートフォンアプリのサービスの活用も視野に入れつつ、各団体・事業者の要望を聞いていきたいとの回答がありました。
 また、聴覚障害者の参政権の保障について、全ての選挙演説・政見放送に情報保障の義務づけと手話通訳者を選挙運動員から外すよう求めました。

総務省 総務省懇談

連本第170247号
2017年7月10日

総務大臣
 高市 早苗  様

東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理 事 長 石野 富志三郎

聴覚障害者の福祉施策への要望について

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上にご理解ご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて当連盟は、本年6月4日福岡県福岡市において開催された第65回全国ろうあ者大会にて、聴覚障害者の福祉施策に関する大会決議を行ないました。
 つきましては下記の通り要望いたしますので、その早期実現をお願い申し上げます。
 なお我が国は「障害者権利条約」批准に向けての国内法整備の一環として「障害者差別解消法」を制定し、1年が経過致しました。障害者を取り巻く環境は一歩前進しましたが、聴覚障害者にとっては手話通訳・要約筆記等を含めた情報アクセス・コミュニケーション支援が不可欠です。今後、合理的配慮の事例を積み重ねていき、障害者の社会参加のためにも、より一層の基礎的環境整備を講じていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

1.電話リレーサービスを通信サービスとして制度化してください。
〔説明〕聴覚障害者と聞こえる人との電話によるやりとりを支援するため、オペレーターを介しての手話または文字による電話リレーサービスが広まっています。先日も愛知県の海上でのボート事故でろう者が電話リレーサービスを通じて海上保安署へ通報したことにより人命が救われたという報道がありました。このようにろう者にとって、必要なときや緊急時に直接、自分から電話をかけられるリレーサービスは、命を守ることや生活においてなくてはならないものです。
 厚生労働省では、2017(平成29)年度事業として一部の聴覚障害者情報提供施設における電話リレーサービスを実施します。電話リレーサービスの実施・普及に向けて一歩前進しましたが、今後実用化のためには通信サービスとしての事業化が不可欠となります。
 ついては電話リレーサービスを国の制度として創設し、普及を図ってください。

2.聴覚障害者の参政権の保障のために、下記の通り要望します。
(1)市町村選挙を含むすべての選挙について、聴覚障害者の参政権の保障のために手話通訳、字幕・要約筆記等を義務付けてください。

〔説明〕現在、国政選挙・都道府県知事選挙では政見放送での手話通訳や一部字幕の付与が可能であり、演説会での要約筆記の配置・報酬の支払いが認められるなど、聴覚障害者への情報保障は少しずつ改善されてきております。しかし、政見放送ではまだすべてに手話通訳・字幕の付与が実現されておらず、義務付けも行われておりません。
 また、市町村選挙における情報保障は義務付けがなく、例えば市町村長選挙では候補者の演説会などに手話通訳、要約筆記等をつけることについて、市町村の選挙管理委員会における判断がまちまちのようです。
 聴覚障害者がすべての選挙の情報を正しく得て、参政権を保障するために、すべての選挙について手話通訳、要約筆記等を義務付けてください。

(2)手話通訳者を公職選挙法の「選挙運動に従事する者」に含めず、独立した条項になるよう改正をお願いします。
〔説明〕
 公職選挙法により手話通訳者について「選挙運動に従事する者のうち、専ら手話通訳のために使用する者」には「報酬を支払うことができる」とされています。手話通訳者は公正・中立を重要な倫理としており、選挙運動員とされることは手話通訳者の社会的信用に関わるだけでなく、基本的な人権としての参政権を求める私たち聴覚障害者の取り組みが選挙運動とみなされる懸念があります。手話通訳者については「選挙運動に従事する者」に含めず、手話通訳者の社会的信用と公正・中立の立場を保障していただきたくお願いします。

以上

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