連本第080102号
2008年5月2日

警察庁交通局交通企画課法令係
パブリックコメント担当 様

財団法人全日本ろうあ連盟
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「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」等に対する
意見募集について

下記のように意見を提出いたします。

  1. 「3.改正の概要 エ(布令23条関係)」
     『専ら人を運搬する構造の普通自動車に限定』については下記の理由で、『普通自動車』とするよう求めます。
    • 「専ら人を運搬する」とした場合、農業や自営業者、営業等に関わって小形貨物自動車等を運転することがある聴覚障害者は業務上支障をきたします。
    • 聴覚障害者の職業選択の幅を狭めることになり、聴覚障害者の社会参加を阻むものとなります。
    • 「道路交通法」および「道路交通法施行規則」に規定された「普通自動車」とし、「専ら人を運搬する構造の」と限定しないよう求めます。

  2. 「ワイドミラー(特定後写鏡)」について
     今回の改正には「ワイドミラー」について大きさや仕様等の明記がありません。「ワイドミラー」には、平面・曲面のタイプや大きさもいろいろあると聞いています。また、サイドミラーそのものをワイドミラーにする方法もあると聞いています。人によっては普通のミラーの方が十分に確認できる場合もあるようです。
     ワイドミラーが本当に必要かどうか再検討をお願いします。サイドミラーと車内ミラーの二つの使い方に気を付けることがポイントであって、ワイドミラーにするかどうかは任意でも良いのではないでしょうか。
      
  3. 「聴覚障害者標識(マーク)」について
     聴覚障害者標識をつけることで、他の人から悪質な行為を受けるのではと、懸念するろう者もいます。
     聴覚障害者標識についての啓蒙を徹底してください。

  4. 「道路交通法」の一部が改正された際に聴覚障害者の運転免許に関し、衆参両議院で附帯決議がなされました。この附帯決議については、「3年後の見直し」等、期限を設定して取り組んでください。
     なお、今回の「専ら人を運搬する」と、運転できる車種を限定されたことは、下記の附帯決議の趣旨「運転することができる自動車の種類の拡大」と相反するものと思います。早急に見直しを求めます。
    ≪参議院附帯決議≫
     聴覚障害者に対する普通自動車免許の付与についての施行状況を見ながら、運転免許の付与条件の妥当性について引き続き検討を行うとともに、原動機付き自転車等、運転することができる自動車の種類の拡大について調査・検討を行うこと。検討に当っては、諸外国の状況に配意するとともに、聴覚障害者団体との意見交換を実施すること。
    ≪衆議院附帯決議≫
     聴覚障害者に対する普通自動車免許の付与条件の妥当性については、諸外国の状況に配意し、引き続き聴覚障害者団体や関係者等との意見交換を実施し、必要に応じ見直しを検討すること。

  5. 今回の改正案で、聴覚障害者の運転免許が3種類と選択肢が増えます。
     運転免許を取得しようとする聴覚障害者の希望と、公安委員会・警察等関係者の対応がずれたり、対応がまちまち等で混乱が起きないよう、様々なケースでの対応を明確にしてください。聴覚障害者とのコミュニケーションについては十分な配慮(手話通訳等)を行ってください。
     また、現在行っている適正検査については必要以上に厳しくすることのないよう、また、必要以上に補聴器使用から「ワイドミラー・マーク装着」条件に変更させることのないようにして下さい。

  6. 今後の対応について
    ① 教習所や試験場、更新時の教習等、免許取得までのあらゆる場面においての情報・コミュニケーション保障をお願いします。
     教習所での学科教習時の「ビデオ教材」への字幕・手話通訳の挿入や、更新時の講習、試験場での情報・コミュニケーション等、補聴器使用者を含めての対応(予算措置を含む)、をお願いします。
    ② 今回の改正で3種の運転免許証が発行されます。交通取締り等で混乱が起きないよう、警察官の聴覚障害者への対応について周知徹底してください。
   以   上

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