「平成19年新潟県中越沖地震被災地の聴覚障害者への支援について」要望書をNHKへ提出しました。


連本第070244号
2007年7月18日
 NHK
  会長 橋本元一 様
〒162-0802 新宿区山吹町130 SKビル8F
Tel 03-3268-8847 ・ Fax 03-3268-8847
財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 安藤豊喜

平成19年新潟県中越沖地震被災地の聴覚障害者への支援について

 日頃は私たち聴覚障害者への情報保障等に、格段のご配慮を頂き厚く御礼申し上げます。
 さて、7月16日10時13分、新潟県中越沖で発生した地震は、新潟・長野両県にまたがる広範囲な地域で建物の倒壊、道路の破損、ライフラインの寸断等、多大な被害と多数の死傷者をもたらしました。そして、今なお余震が頻発し、被災の住民は不安な時を過しています。
 災害時には被災地における住民、そして被災地を見守る国民にとって、公共放送による迅速にして正確な情報提供はもっとも大切な情報源になります。
 しかし、NHKは地震発生直後から緊急災害放送を行っていましたが、それには「手話通訳」はなく、また地震発生直後の一番情報が知りたい時には「字幕放送」もありませんでした。この間、聴覚障害者は画面を見ながら不安と心配を募らせるばかりでした。
 当連盟は、貴放送局に対し今年3月25日に発生した能登半島地震の折にも、「緊急災害時放送における『手話通訳・字幕』挿入の要望について」(2007年3月31日付)として、聴覚障害者への緊急災害時放送における『手話通訳・字幕』付与を要望しました。
 しかし、今回の地震でも私たち聴覚障害者はテレビ放送から十分な情報が得られず、能登半島沖地震と同じ不安を味わうことになりました。
 NHKの今回の災害時における聴覚障害者への対応を、非常に残念に思います。
 NHKが公共放送としての使命を果たされるよう下記の通り要望いたします。



1.緊急災害時においてローカル番組を含むテレビ番組に、「手話通訳と字幕」の付与を行ってください。
<説明>
 「字幕」の場合、字幕放送を受信できる聴覚障害者ばかりではないので、直接、画面に字幕を挿入したものを放送して頂くことが一番理想です。それが困難な場合は、字幕放送による字幕付与を必ず行ってください。
 被災地周辺の地域に暮らしている聴覚障害者にとってはローカル番組も重要な情報です。緊急災害の場合はローカル番組においても字幕を付与してください。
 また「手話」については、手話ニュースを緊急放送したり、緊急災害時の放送番組には手話通訳を挿入して放送して下さい。

2.緊急災害時に、特定非営利活動法人CS障害者放送統一機構に対し、ローカル番組を含むニュース、その他の必要な情報を速やかに提供してください。
<説明>
 特定非営利活動法人CS障害者放送統一機構が放送している「目で聴くテレビ」は、3月に能登半島地震発生の1時間後からピクチャー・イン・ピクチャー機能を活用してNHK放送に「手話通訳と字幕」を付与した放送を実施しました。「目で聴くテレビ」を受信するアイ・ドラゴンUを持っている聴覚障害者、施設では、これにより地震情報を一般視聴者と等しく得ることができました。
 NHKは特定非営利活動法人「CS障害者放送統一機構」と連携することにより、緊急災害時の「手話と字幕」を付加した放送を実施することができます。

以 上