大会宣言

21世紀にふさわしい新しい社会を作ってゆかねばならない今、障害者の福祉が大きく変えられようとしています。「障害者自立支援法」という新しい法律制定です。

この新法は、障害者のための福祉サービス供給を市町村の責務であることを明確にしようとするものですが、同時に障害者福祉サービス利用料の一部を利用者負担とする、いわゆる「応益負担」の考え方の導入を認めています。

しかし、障害者の圧倒的多数は低所得者であり、特に高度の福祉サービスを必要とする重度障害者のほとんどは年金収入だけに頼っているのが実情です。応益負担の導入は、費用負担を考えて福祉サービスの利用を自ら抑制することにつながりかねず、とうてい容認できることではありません。障害者の実情とニーズを反映した方向での根本的な見直しが必要です。

なお、新法は、手話関連事業を「地域生活支援事業」の形で義務づけ、介護給付・自立支援給付とは別系統に位置づけています。

手話は言語であり、いつでも、どこでも、必要な時に、安心して手話通訳を活用できることは、ろう者の基本的人権保障と社会への完全参加実現のための基盤となるものであり、福祉サービス供給の前提条件となるものです。また、手話通訳は、ろう者と聞こえる人との間での自由な意思伝達を保障するものであって、ろう者のためにだけ必要とされるものではなく、相手の聞こえる人のためにも必要不可欠なものです。

私たちはこの理念に基づき、障害者の利用料負担を許さず、また市町村の間で障害者福祉サービスの格差が生じることがないように、全国各地の力を一つにして、運動を大きく広げ、進めていくことをここに宣言します。

2005年5月29日

第53回全国ろうあ者大会