<<第22回全国手話通訳問題研究討論集会アピール>>



手話通訳の有料化を阻止し、聴覚障害者の「完全参加と平等」を実現するコミュニケーション保障の社会的システムを確立していこう!


 いよいよ障害者自立支援法が4月からスタートします。市町村を実施主体とし、福祉サービスを利用する障害者に応益負担を導入する事業体系の中で、コミュニケーション支援事業が位置づけられた地域生活支援事業も10月からの実施に向けて準備が進んでいます。
 国や都道府県・市町村の厳しい財政事情のなかで、手話通訳の有料化の恐れがある地域が出ています。本当にすべての市町村で手話通訳事業が実施されるのかどうか見通しの見えない状況の中で、予算のカットや都道府県の派遣事業や政令指定都市が積み重ねてきた手話通訳者養成事業が廃止に直面しているという報告もありました。
 しかし、私たち全日本ろうあ連盟、全国手話通訳問題研究会は全日本難聴者・中途失聴者団体連合会、日本手話通訳士協会、全国要約筆記問題研究会とともに、5月5日に聴覚障害者「自立支援法案」対策中央本部を立ち上げ、全国のすべての都道府県に対策地域本部を結成しました。私たちの運動の歴史の中で、初めて、コミュニケーション支援に関わるすべての団体が集結し、連帯して運動をすすめました。また都道府県レベルだけでなく、すべての市町村を廻って要望交渉を展開し、市町村に聴覚障害者のコミュニケーション保障の必要性について自覚を促していった取り組みは大きな歴史的な意義があると言えます。
 地方議会で手話通訳事業の有料化反対の請願を可決した地域、行政担当者とともに聴覚障害者のニーズに合った事業のモデル要綱を策定することにより100%の市町村で実施の見通しができた地域、養成と派遣、設置に取り組むようになった自治体が増えた等いくつかの成果もでています。
 私たちは、日本の福祉サービス事業が転換することに大きな危機感を持って、引き続き関係団体の力を結集し、さらに他の障害者関係団体とも関わりを強め、手話通訳事業は、聴覚障害者の基本的人権の保障の土台であり、聴覚障害者だけでなく聴覚障害者に関わるすべての人々のための事業として無料で実施することの理解を広げていきましょう。そして、行政の動きを待つのではなく、政策的に協議し具体的な提案をもって私たちから行政に事業実施を迫っていく運動が求められています。
 コミュニケーションは基本的人権として保障されるべきであり、国、都道府県、市町村の責任で財源確保を十分に行い、サービス水準の後退や市町村格差を生じさせないよう取り組んでいきましょう。

  1. 手話通訳事業の有料化を阻止しましょう。
  2. 聴覚障害者の「完全参加と平等」を実現していくための、地域のコミュニケーション・バリアフリーと手話通訳者養成、派遣、設置の事業実施と充実を求めましょう。
  3. 聴覚障害者「自立支援法案」対策中央・地域本部の取り組みの成果を市町村レベルまで広げられるよう、連帯して取り組んでいきましょう。

2006年2月12日
第22回全国手話通訳問題研究討論集会(山口)


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