大会宣言

 「アジア太平洋障害者の十年」NGO会議がここ沖縄で初めて開催されてから十年、全日本ろうあ連盟は、世界ろう連盟アジア太平洋地域事務局の運営、アジアろう者友好基金の創設、各国からの研修生の受け入れなど多くの実績を重ねてきました。 
 また、十年前に掲げていた欠格条項撤廃の目標は一部現実のものとなり、急速に普及したパソコンや携帯メールは新たなコミュニケーション手段として定着し、情報保障面は改善されつつあります。社会の変化と運動が相まって、目覚ましく前進した十年であったといえるでしょう。
 そして今年1月、全日本ろうあ連盟と全国手話通訳問題研究会、日本手話通訳士協会を母体とする「社会福祉法人全国手話研修センター」が法人認可されました。最終年を飾るにふさわしい出来事です。私たちの権利保障の原点であり最大の課題ともいえる手話通訳問題について、専門的に取組むことができる機関がついに誕生したのです。
 介護保険制度は既に実施され、来年度は障害者福祉について、従来の「措置制度」から「支援費制度」への移行が決まっています。このような制度を正しく活用するためには手話通訳者が不可欠ですが、事業者の理解はまだまだ不十分です。全国手話研修センターの担うべき役割は大きくまた重いものがあります。
 この十年、全日本ろうあ連盟は、欠格条項撤廃への取組みや全国手話研修センターの設立等を通して、関係諸団体と共に歩み、災害や経済不況といった逆境をも互いの結びつきを強める力に変えてきました。この連帯を一層広げ、「アジア太平洋障害者の十年」最終年を締めくくる記念フォーラムに取組み、各国との交流を更に深め、新たな時代を切り開いていくことをここに宣言します。

2002年6月9日

第五〇回全国ろうあ者大会