大会決議

1.手話通訳制度の法的確立のために
イ.手話奉仕員・手話通訳者養成の講師育成、及び手話奉仕員・手話通訳者登録基準の明確化、そして両派遣事業と手話通訳者設置事業の具体的な基準の策定と整備を求める。
ロ.派遣と設置事業の一元的運営のため、正規職員の専任通訳者(複数)・コーディネーターを中心とする「手話通訳派遣センター」の制度的確立を求める。
ハ.「社会福祉法人全国手話研修センター」の運営の確立に努力する。
ニ.都道府県及び市町村福祉担当部局、また公立病院、介護保険のサービス提供機関等の手話通訳者を常時必要とする公的機関に、正規職員として手話通訳者を複数採用することとし、その制度化を求める。
ホ.頸肩腕障害についての学習と社会的理解をひろげ、その予防に努力するとともに職業病認定運動を進める。
ヘ.手話人口を大きくひろげ、手話通訳者の養成を目指す。

2.聴覚障害者センターの全都道府県設置のために
イ.全ての都道府県・政令指定都市に聴覚障害者情報提供施設を設置する。
ロ.聴覚障害者情報提供施設を手話通訳養成・派遣・設置およびCS通信放送設備を備えた、地域におけるコミュニケーション保障・情報発信総合センターに発展させる。

3.聴覚障害者が希望を持ち、豊かに生活できる労働環境の保障のために
イ.手話協力員の業務の位置付けを明確にし、正職員として採用設置するよう求める。
ロ.職業安定所担当官、手話協力員等、聴覚障害者の職業関係担当者の研修のために、厚生労働省主催による継続的研修会の開催を求める。
ハ.職場研修や会議、技術取得の機会等への平等な参加保障のために、手話通訳派遣制度及び重度障害者の職場定着を支援する職場定着指導員制度の新設を求める。
ニ.重度障害者介助等助成金による手話通訳派遣の等級制限や、派遣回数の制限を全廃するよう現制度の改善を求める。
ホ.聴覚障害者の職場での昇任、昇格等の平等な保障を目指す。
ヘ.ろう学校での職業教育の内容・設備につき、人的・物的両面での充実を求める。
ト.職業分野ごとの技術的・専門的手話の開発と普及に努める。

4.ろう重複障害者が働き、生活できる場の実現のために
イ.ろう重複障害者の生活と職業の実態を全国的に明らかにするよう求める。
ロ.ろう重複障害者のための通所授産施設を全国各地に設置するよう求める。
ハ.ろう重複障害者に働く場の保障を求める。
ニ.ろう重複障害者の生活・労働施設づくりを広げるとともに、実態に即した施設の位置付けと必要な人件費の制度的保障を求める。
ホ.ろう重複障害者のためのグループホームの全国的な設立を目指す。
ヘ.ろう盲者のコミュニケーション保障と、移動介助の充実を求める。

5.ろう者の参政権の完全保障のために
イ.すべての政見放送について、公的責任により手話通訳をつけるよう求める。

6.テレビ放送の享受の完全平等化のために
イ.手話、字幕をつけたテレビ放送の拡大を求める。
ロ.聴覚障害者にも完全に分かる災害時の緊急テレビ放送を求める。
ハ.「CS障害者放送統一機構」による「目で聴くテレビ」を普及、発展させる。
ニ.改正著作権法の精神を生かし、音声を字幕化したテレビ放送が「目で聴くテレビ」で視聴できるように求める。

7.文化・スポーツ活動を推進するために
イ.ろう者による美術・演劇・芸能・文芸等の文化活動を広げ、進める。
ロ.生涯スポーツ及び競技スポーツ活動推進による豊かなスポーツライフの実現を目指す。

8.ろう教育の充実と発展のために
イ.ろう教育の現場で聴覚障害についての理解を深め、ろう者として生きる力を育てる教育を確立させる。教職員には手話を理解・習得し活用するための研修の義務付けを求める。
ロ.ろう学校の専門性を重視し、新規採用者は専門的教育を受けた者またはろう者を優先的・積極的に採用することを求める。また、専門性を無視した機械的・強制的な異動には強く反対する。ろう者が教員採用試験を受ける場合は手話通訳の保障をする等、その平等な実施を求める。
ハ.ろう学校は、ろう団体、福祉・医療等の関係機関と連携を深め、地域の教育センターとしての役割を果たすことを求める。
ニ.ろう重複障害児に対する教育を一層充実させるとともに、卒業後の生活・生存権、発達権の保障を求める。
ホ.聴覚障害者が入試等で差別されることがないよう、すべての大学・短大・専門学校等の全面的な門戸の開放と手話通訳等の情報保障を求める。
へ.社会教育としての公的市民講座には、受講者の希望に応じてすべて手話通訳・要約筆記を保障するよう求める。

9.福祉制度の充実のために
イ.障害基礎年金の所得による支給制限や、出産時期による子の加算制限の撤廃を求める。
ロ.老齢年金等他の年金と障害基礎年金の併給を求める。
ハ.日常生活用具の範囲の拡充と合理化を求め、また支給制限の撤廃を求める。
ニ.音声による情報を視覚化する機器、特に緊急時連絡のための情報機器の研究・開発を求める。
ホ.文字メール通信やテレビ電話、通信等、新しい、使いやすい情報機器の開発と普及を求める。

10.差別法令の全面廃止とろう者の完全参加と平等のために
イ.法令中の『耳の聞こえない者・口のきけない者』を欠格事由とする全ての条項の削除を実現させるとともに、欠格条項改正後も残る不平等な取扱基準等の撤廃を求める。
ロ.著作権法を改正し、盲人のための点字による複製権の規定と同様、聴覚障害者のための手話つき・字幕つきビデオ複製権の規定を新設するよう求める。
ハ.保育士試験等の実施機関において音楽関係科目を試験する場合、聴覚障害者の受験にあたっては代替科目による受験ができるよう保障を求める。

11.正職員のろうあ者相談員の全国的採用設置のために
イ.国に対し、ろうあ者相談員制度の創設を求める。
ロ.地方自治体に対し、ろうあ者相談員を正職員として採用することを求める。
ハ.聴覚障害者情報提供施設の相談員人件費の保障を求める。
ニ.ろうあ者相談員の専門性の確立と資質の向上を目指す。

12.介護保険制度の公平で平等な保障のために
イ.介護保険制度利用の全ての段階で、十分なコミュニケーション保障を求める。
ロ.ろう者専用老人ホームを全国各地に設立することを求める。
ハ.一般老人ホームにろう者が入所する指定施設を設け、少なくとも5人以上のろう者が入所できるようにするとともに、手話通訳者の採用設置、職員全員の手話講習等を全面的に推進し、入所したろう者の同一コミュニケーションによる共同生活を保障することを求める。
ニ.憩いの家、デイサービス、老人福祉センター等については、ろう者受入れ指定施設を設け、ろう者同士の集団を通して気兼ねなく利用できるようにすると共に、手話によるコミュニケーションの保障を求める。
ホ.手話が自由に通じる(ろう者の、または手話通訳者の)介護福祉士、ホームヘルパーの積極的養成と普及を求める。
ヘ.行政や地域住民の協力を得て、一人暮らしのろう老人が安心して生活できる環境を追求し、条件整備を求める。

13.聴覚障害者の国際連帯を深め、世界平和を目指すために
イ.世界ろう連盟の活動に参加協力し、国際交流を進める。
ロ.アジアの聴覚障害者と連帯し、その支援活動に取り組む。
ハ.戦争に反対し、核兵器の廃絶・地雷の撤去等を目指し、国内・国外の平和運動と連携・協力する。

14.連盟と加盟団体の組織強化のために
イ.都道府県1団体の原則を堅持し、全国の聴覚障害者の団結を図る。
ロ.会員の拡大、日本聴力障害新聞やMIMIの拡大・普及に皆で取り組む。
ハ.加盟団体の財政的な基盤を確立し、専従職員体制を充実させ、会員と賛助会員等による一層の組織的強化を図る。

15.障害者全体の連帯と福祉拡充のために
イ.障害者やその関係者団体と広く連携し、協同して、障害者福祉の充実を求めていく。

16.12月9日の障害者の日を国民の休日に