2001年3月12日、全日本ろうあ連盟は厚生労働大臣宛に以下のような要望を行いました。 |
2001年3月12日 厚生労働大臣 坂 口 力 様 東京都新宿区山吹町130 SKビル8F 電話 03-3268-8847 Fax 03-3267-3445 財団法人 全日本聾唖連盟 理事長 安藤豊喜 聴覚障害者の雇用への緊急要望について 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上については深いご理解とご配慮をいただき、厚く御礼申し上げます。 さて現在、経済不況が長引き、企業の倒産や失業問題など暗い話題がとどまることを知りません。その中で私たち聴覚障害者の雇用状況も一段と厳しく、解雇やリストラにあい苦しんでいる人たちが増えております。 私たち障害者にとって、就労は社会参加の第一歩であり、安定した労働収入を得てこそ、幸せな社会生活が実現できるものです。 つきましては、当面の聴覚障害者の雇用対策として下記の要望を致しますので、実現に向け、努力していただけますよう心からお願い申し上げます。 記 1. 手話協力員制度を充実させてください。 〔説明〕 ・ 手話協力員制度は、労働省が昭和49年に聴覚障害者の労働分野での、情報及びコミュニケーション保障をサポートする制度として設立され、現在全国202カ所に手話協力員が設置されております。 ・ 月8時間(週2時間)という現状の身分保障については、毎年改善に向けて要望しているところですが、地方自治体によっては地域聴覚障害者の要望により、地方自治体独自で手話協力員制度を作り、国の制度とお互いに補完し合いながら、多大な成果を残しているところもあります。 ・ それが昨年、労働省の組織改革により、地方自治体の労働機関が国の機関に移行されました。今後、手話協力員制度は国の制度だけになることで、これまで地方自治体独自で設置してきた手話協力員は廃止されるという問題が起きています。 ・ ご存知のとおり、私たち聴覚障害者にとって労働分野においては、手話協力員制度は唯一の大切な制度であります。それが、省庁再編成の影響を受けて、これまで積み上げられ就労援助の最先端で活躍している地方の手話協力員制度が廃止させることは、私たちの職業生活の重大な危機と受け止めます。 ・ 省庁再編成という組織の変化があっても、これまでどおり手話協力員制度は後退させないよう、さらに向上できる制度になるよう緊急対策を立ててください。 2. 雇用拡大にむけ、雇用率未達成企業に対して雇用率遵守の緊急指導を行ってください。 〔説明〕 ・ 平成10年に雇用率が1.8%にアップしましたが、経済不況下の影響もあって実雇用率は1.49%台にとどまっております。そんな中で、雇用率未達成企業は50%を越えているという報告がなされております。 ・ 障害者雇用に向けて努力している企業とそうでない企業があることは、雇用率をあげる上で大きなネックになっていることは大変残念でなりません。 ・ 「障害者の雇用促進等に関する法律」は、守るためにあるものであり、厚生労働省は企業に対してもっと積極的に指導する責任があると思います。 ・ 国や地方公共団体、企業が雇用率を達成できるよう、緊急対策を講じてください。 3. 障害者緊急雇用安定プロジェクトの積極的な活用を企業に働きかけてください。 〔説明〕 ・ 障害者雇用をためらっている企業は、少なくありません。この制度を活用し、障害者の特性や努力を見抜き雇用に結び付けられるように、積極的に企業に指導してください。 以上 |