「何事にも、挑戦する気持ちを持とう」

小島崇寛さん(第21回夏季デフリンピック・空手道男子60~70kg級・金メダル)

―このスポーツを始めたきっかけや当時の思い出を教えてください。
小学6年の時に聾学校の1つ先輩が空手道を始めており、その先輩とは近所だったので、「一緒に空手道をやらないか?」と誘われたのがきっかけです。「突きや蹴りがかっこいい」という印象が強く、基本の技を覚えることに没頭していました。

―このスポーツの魅力は何ですか?
組手です。特に、間合いの駆け引き。わざと自分の隙を出して、相手の突きや蹴りを出させ、それを狙ってカウンターを決めたり、または相手の隙を逃さないで、突きや蹴りを決めたりするなど、様々な駆け引きがあります。

―普段の練習内容を教えてください。
平日の夜7時~9時半まで、道場で40名ぐらいが練習をしています。子供たちへの指導も行っています。時々、土日は遠征や強化合宿に参加することもあります。

―このスポーツを続ける上での原動力を教えてください。
「楽しい」と思うことは、当然必要だと思いますが、「勝ちたい」という気持ちがあったからこそ、続けることができたと思います。試合で負けて、あの人に勝ちたいと思うからこそ、続けることができていると思います。また周りの人たちの支えも大きいです。

―デフリンピックに出場したいと思ったきっかけは何ですか?
約3年前に「デフリンピック」という言葉を友人から初めて知り、世界中の色んな選手たちと戦ってみたいと思ったからです。

―デフリンピック選手に選ばれたときの心境を教えてください。
空手道は、日本から生まれた武道なので、日本のためにも周りのためにも優勝しなければいけないなと思いました。

―デフリンピックの舞台に立っての感想はいかがでしたか。
開会式の壮大さに感動しました。『勝ちたい』という気持ちがますます増えてきました。特に、2回戦で当たったイタリアの選手との試合は、苦戦しましたが、結果として優勝することができて、「とてもホッとした」という気持ちが大きかったです。

―デフリンピックでの裏話がありましたら教えてください。
日本選手団の中に新型インフルエンザが流行していたが、マスクをしていたのは日本人だけであり、海外の選手はほとんどマスクをしていなかったことです。

―デフリンピックアスリートとして心がけたことを教えてください。
空手道は日本から生まれた武道なので、日本の誇りのためにも勝たなければいけないと思っていました。そして、常に日本代表としての意識を持ちながら、練習をしていました。

―デフリンピックを目指す人へのメッセージをお願いします。
デフリンピックは、聴覚障がい者の世界一を決める国際大会です。とても素晴らしい大会です。大会を経験するだけではなく、国際交流や日本選手団との出会いなど、自分の世界がさらに広がります。「デフリンピック」という目標や夢を持って、大いに挑戦して欲しいです。

―試合前に集中力を高めるために何かしていますか?
アップとイメージトレーニングが大事だと思います。【自分の世界に没頭する】

―このスポーツをしていてよかったなと思うことは何ですか?
空手道を通じて、いろんなことを学び、様々な人との出会いができたことです。

―聴覚障害を持つことで、辛かったことや怒りを感じたことはありますか?
試合では、聴覚障がいを持っていることに不便は感じませんが、今までに大変だったのは大学空手道部の主将を務めたことです(部員は40人ほど)。責任感がとても重く、コミュニケーションの面もあり、部員たちをまとめるのが大変でした。

―その辛かったことをどうやって乗り越えましたか?
とにかく自分を信じて主将の役割に専念しました。

―練習で一番楽しいことは何ですか?
練習に本当に没頭する時ですね。その時にたくさんかく汗がとても気持ちいいです。

―落ち込みそうになったときに励みにしているものは何ですか?
周りの友だちです。友だちからの応援や励ましがとても支えになっています。

―お休みの日は何をして過ごすのが好きですか?
ドライブしたり、友だちと遊んだり気分転換をしています。

―ほかのスポーツに興味はありますか?見るとしたら何をよく見ますか?
趣味はランニングです。中学・高校時代は陸上競技部に所属していたので。今でも空手道のトレーニングの一環として、時々、ランニングを行っています。特に駅伝は最後まで勝負がわからないので、とても面白いです。

―そのスポーツが好きな理由もできれば教えてください。
ランニングすると様々な空気や風を感じることができるので、とても気持ちがいいです。

―今の目標は何ですか?
12月に開催される全日本空手道選手権で愛知県が上位入賞できるように貢献することです(レギュラー出場)。

―今までのスポーツ歴を教えてください。(他のスポーツも可)
・小学校1~4、5年まで(水泳)
・中学~高等部(陸上競技・卓球・バレー・空手道)
・大学(空手道)

―ろうの子供たちへメッセージを。
デフリンピックは、とても素晴らしい大会です。世界中から、同じ障がいを持った人が集まり、スポーツを通じて戦う。試合だけではなく国際交流もできる。この経験は、きっと人生の中でも大きな思い出になるでしょう。今からでも遅くありません。何事にも挑戦する精神を持って、思いっきり挑戦して欲しい。スポーツは楽しく!大いに楽しもう!

2009年11月19日 愛知県社会福祉会館にて
聞き手:全日本ろうあ連盟スポーツ委員会 中澤 英明

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