第23回夏季デフリンピック競技大会(サムスン2017)日本選手団サイトはこちらへ

福祉医療機構助成事業「デフリンピック啓発セミナー」シンポジウム
(2009/2/22)

≪ 前ページ         次ページ ≫

篠原 雅哉(特定非営利活動法人日本デフバスケットボール協会 理事長)

 こんにちは、ご紹介いただきました篠原と申します。今回は日本デフバスケットボール協会理事長という立場で参りました。世界の実力についてですが、アメリカがとても強いですね。男子アメリカはデフリンピックでは毎回1位。2位になったことはありません。ずっと1位を取り続けています。次にはスロベニアがとても強いです。今、海外の試合で大切なのはスピードです。身長ではなくスピードで決まります。日本チームの勝利はスピードが鍵です。日本チームに技術はありますが、やはり相手の身長が高い、身長差、体の大きさの差が課題になります。バスケットゴールは3mあります。身長が高ければゴールは近くなります。その身長差を負かすにはスピードが必要になるのです。

 写真にありますように身長は顔1つ分違います。これはスロバキアの選手ですね。見上げるくらい高いです。女性も同じです。とてもとても大きいのです。世界1のアメリカチームも大きいですね。横も大きいですね。縦横大きいですね。日本人は小さいですね。この人は185センチ。これは男子チームです。日本で一番背が高いのは11番の選手です。彼の身長はどのくらいだと思いますか?191センチです。となりの相手選手は2メートルを超えています。191センチの選手が小さく見えますね。これは世界大会のアメリカの若いチームとギリシャのチームですね。この人の身長は2メートル15。びっくりしますね。相手の身長が高いから無理だと思うのではなく、速く攻めて、速くボールを奪い取るという「スピードで攻める」考えに絞ってやっております。

 さて、デフバスケの強化方法を紹介したいと思います。デフスポーツは競技なのか福祉なのかという考えから始まりました。どちらでしょう?福祉ではありません、競技です。「勝つ」ということを目的に頑張ります。福祉的に聞こえないから配慮してやるというのではなく、健聴者と対等にやるという考え方で進めています。

 前回のメルボルン大会の時と今回は体制を変えました。日本チームはローマで初めてデフリンピックに参加、メルボルンはローマに続いて2回目の大会でした。バスケットの基礎がなかったので、まず基本を充分に身につけることやりました。そしてどうやってゲームを勝ち取るのか? それは選手一人ひとりの自覚にかかっています。デフリンピックの選手に選ばれたからラッキー!というのではない。そうではないデフリンピックの選手であるという自覚が必要です。健聴の監督とのコミュニケーションをきちんと取ることも必要ですね。前はろうの監督が行っていましたが、健聴者の力を借りることにして、健聴者で手話が出来ない場合、どうするのか?コミュニケーションのきちんと取るにはという検討課題を抱えながら、メルボルン大会に出場しました。デフリンピックのバスケ日本代表の男子選手のことを知ってもらうことの努力。広報活動もあります。日本バスケのトップチームである実業団チームと試合をするということもやってまいりました。

 メルボルン大会で改めて考えたのですが、日本の場合は聴覚障害者が試合を進めるためになんらかのサポートがあります。例えば、審判が手袋をして目立つようにするというのがありますが、メルボルン大会の時は健聴者の試合と同じように手袋はありませんでした。健聴者の大会と同じやり方でした。改めて福祉ではない、競技だということを再確認したわけです。またアメリカはルールブックも健聴者と同じものを使い、基本的にすべて同等ということです。メルボルン大会は大会期間が2週間ありました。期間が長く試合が続きます。体力・持久力・選手の体調管理・モチベーションを高める。気持ちが落ち込まないようケアする、これが課題でした。日本ならば長くても1週間で決勝戦を迎えますがデフリンピックは2週間かかるということです。練習だけでは気持ちを持続することは出来ないということが分かりました。技術以外の問題、選手それぞれに気力があったかどうか見抜けませんでした。メルボルンの時には技術的にうまい人だけを選びました。ですから、技術以外の面を自己管理できるかどうか。昨日大槻さんから話がありましたそのことと同じです。自分で自分を管理する、自分が選手として参加する自覚を持つ。それを持たなければならないことが教訓となりました。

 今日は参加しておりませんが、メルボルン大会に引き続き台北大会にも選手として選ばれた女性がいます。彼女に「メルボルンに参加して何か反省点はありますか?」と聞いたところ、「スピードが足りなかった。長期戦での精神力が足りなかったから、精神疲労の解決方法を何か自分で身につける必要がある」といいました。また「健聴・ろうの違いはないが、確かに試合中のコミュニケーション方法は目だけが頼りだから、チームの力をまとめなければならない。」これを参考にして、台北に向けて、選手達を指導強化中です。

 台北2009への取り組みとしては国際経験を積み重ねていこうというものです。そのために2007年中国の広州に行きました。自己負担でも構わないということで行きました。メルボルンでは中国に負けましたので、負かしてアジアで一番を獲得するために行きました。勝つことは選手の自信につながります。男子チームは8位を取りました。改めて自信をもって大きな1歩を踏み出すことができると思います。

 台北2009に向けて日本代表メンバーを集めて戦えるチームを作る。粟野さんが言うようにメダルを獲得するという気持ちを強く持って欲しい。戦うだけではなく「メダルを獲得するんだ」という意識づけ。スタッフにもきちんと情報を集めて渡す。年間5~6回強化合宿を行う。また別に自己負担で自主合宿をやることも増えました。それぞれ選手が自覚を持てたことは素晴らしいことです。また企業の東芝・日立・松下電器のバスケットチームからの協力、大学や高校には練習試合をすることで協力をいただいております。ユニフォームウエアを、メーカーや企業からの協力をいただけるようPRをするということも必要です。

 選手のモチベーションを上げるために選手を良くみて生活レベルに合わせて考えるサポートが必要です。バックアップですね。上から目線ではなく、同じ目線にたつことが必要です。やはり選手は社会人であり仕事を持っています。余暇で練習をするわけですから上から目線ではなく同じ目線で話すことが大切です。思い切って下から目線となりバックアップをすると言う気持ちが大切だと思います。あとはデスカッションですね。いろいろ話し合いをするということです。日本代表としてのステイタスが必要です。誇りを持たせるのですね。代表となったときのメリットは何なのか?それがなければ代表だとは言わない。ただやりたいからではない。日本代表としてのメリットはありますか?健聴者の場合はありますね。有名になりますし、お金ももらえます。やったぁ!という気持ちになりますけれども、デフリンピックにはありますか?そういう話は聞いていません。

 日本代表としてのステイタスを上げるためには何が必要か。皆さんとは意見が違うかもしれませんが、私はデフリンピックの知名度をあげることまずあげること。皆がデフリンピックを知っている、デフリンピックはろう者のスポーツ大会の中で、最高の大会であるということを周知することだと思います。以上です。ありがとうございました。


大杉 篠原さんは競技団体のトップの立場で活動をされていますが、他の団体の指導者も同じような思いをされているのでしょうか。ご苦労さまです。では続きまして全国聾学校体育連盟の松田理事長から体育連盟の活動・内容について話していただきたいと思います。宜しくお願いいたします。


≪ 前ページ         次ページ ≫