東日本大震災を忘れない~10年の節目に~ 3.11声明



 3月11日で東日本大震災から10年を迎えるにあたり聴覚障害者災害救援中央本部が「東日本大震災を忘れない~10年の節目に~ 3.11声明」を発表しました。

東日本大震災を忘れない~10年の節目に~ 3.11声明

石野富志三郎 死者約15,000人、行方不明者約2,500人という未曽有の大災害となった東日本大震災から、今年で10年を迎えました。福島、宮城、岩手の被災3県も道路や鉄道等の目に見えるインフラ整備は確かに進んでいます。しかし、復興庁データをみると現在も約42,000人の方々が避難を余儀なくされています。また、福島では原発事故による、大量の汚染水の処理方法が決まらず先延ばしされ、多くの住民の生活を悩ませているのが現状です。
 発災直後に立ち上げ被災地支援を続けた「東日本大震災聴覚障害者救援中央本部」は、その後「聴覚障害者災害救援中央本部」として、熊本地震や西日本豪雨等近年多発している自然災害に対して、被災地との情報交換や支援等を行ってきました。また、2018年には災害時の早期支援のため「聴覚障害者災害救援基金」を創設しました。
 この間、内閣府はじめ各関係省庁及び、NHK、民放連に対して災害時の聴覚障害者への情報提供や施策の充実といった要望活動を続けてきた結果、気象庁の緊急記者会見時に手話通訳が導入されたことは、私たちの活動の成果でもあります。
 また、手話言語条例制定の流れが全国に広がり、手話言語の社会的認知が高まるなど、この10年で、ろう者等の当事者や手話関係者を取り巻く環境も大きく変わりました。昨年からは新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、全国すべての都道府県知事会見に手話通訳が導入され、また、感染防止の観点から「遠隔手話通訳」の活用も広まってきています。しかし、すべての聴覚障害者がいつでも安心して必要な情報を得られているわけではありません。特に災害発生等の緊急時における、情報保障体制の確立は聴覚障害者の生命にかかわる喫緊の課題です。
 災害時には「公助」「共助」「自助」の取組みが重要であるといわれます。大震災後10年を迎える今、改めて国や地方自治体に対しては、被災地への速やかな情報保障者の派遣など「公助」としての取組みの充実を要望していきます。あの大震災後、私たちは現地で被災者と力を合わせ励まし支え合いながら、「全国の仲間たちとの絆」を大切に活動を続けてきました。これからも「自分たちの生命を守り、仲間たちの生命を守る」ことを柱に、聴覚障害者自身も防災・減災学習をしながら、仲間と共に地域への聴覚障害者理解を広めていきます。
 すべての人が安心・安全を確信できる共生社会を目指し、私たちは全国の仲間とともに防災・減災に向けて、これまでの取組みをさらに強化していく決意をここに表明します。

2021年3月11日
聴覚障害者災害救援中央本部
運営委員長 石野富志三郎
〈構成団体〉一般財団法人全日本ろうあ連盟
一般社団法人全国手話通訳問題研究会
一般社団法人日本手話通訳士協会

聴覚障害者災害救援本部について