デフスポーツネットワーク会議を開催



 2019年1月27日(日)、東京駅前にある「ビジョンセンター東京駅前」で「デフスポーツネットワーク会議」を開催しました。これは平成30年度スポーツ庁委託事業「平成30年度障害者スポーツ推進プロジェクト(障害者スポーツ団体の連携及び体制整備への支援事業)」の事業の一環です。全国の加盟団体(ろうあ協会)体育部長とデフスポーツ競技団体、またろう学校関係者が一堂に会し、関係機関のネットワークを構築するための学習会です。これまでこのような機会がなく、初めての試みとなります。当日は全国から60名が参加しました。

60名が参加

 まず、知的障害のある人たちに、オリンピック競技種目に準じた様々なスポーツトレーニングとその成果を発表する場となる競技会を提供している組織である、スペシャルオリンピックス日本の渡邊浩美常務理事補佐より、『スペシャルオリンピックス日本の25年』と題した講演がありました。

渡邊浩美常務理事補佐

 スペシャルオリンピックスが行う競技会では、上位だけでなく参加者全員が表彰台表彰を受けること、世界170の国と地域で活動が進められていること、知的障害のあるアスリートと知的障害のない人が共にチームを組み、スポーツを楽しむ「ユニファイドスポーツ」への取組みなどを話されました。

 続いて、『障害者スポーツを「見る」から「知る」「応援する」「支援する」へ』をテーマにパネルディスカッションを開催しました。
・「見る」とは障害者スポーツを目にすること。
・「知る」とは障害種別ならではの特性を知ること。
・「応援する」とは試合を観戦すること。
・「支援する」とはサポーターになること。
 この4つをキーワードに、全日本ろうあ連盟スポーツ委員会委員長の小椋武夫がコーディネーターを務め、パラスポーツ、知的障害者スポーツ、デフスポーツそれぞれの立場からパネリストが意見を述べました。

小椋武夫

 (パネリスト)
 日本パラリンピック委員会 委員長補佐 中森邦男氏
 スペシャルオリンピックス日本 常務理事補佐 渡邊浩美氏
 全日本ろうあ連盟スポーツ委員会 事務局長 倉野直紀

 国内外の大会へ参加する際の派遣費用の作成、まだまだ認知度が低い障害者スポーツの普及方法など各団体の特性や運営について意見交換をしました。

意見交換

 参加したデフスポーツ競技団体からの現状報告では、各団体の取り組みや課題などが出されました。

競技団体からの現状報告
競技団体からの現状報告

 午後はテーマを3つに分け、分散会を行いました。
 テーマ①「選手の発掘及び強化」では、聾学校長会、加盟団体、競技団体で意見交換をしました。まず基礎にはろう学校での部活動がある、卒業後はろうあ協会に加入し体育大会に参加する、そしてデフ競技団体に所属するというピラミッド型で成り立っていること、選手を発掘するためにはろう学校、ろうあ協会、デフ競技団体の三者間の関わりが大切であることを確認しました。

テーマ①

 テーマ②「競技団体の運営や企業支援のつながり」では、各競技団体と加盟団体体育部とのつながりが薄いことの現状を認識し、今後この繋がりを強くしていきたい。手話通訳の体制については、デフ競技に長けた手話通訳士を確保・育成してほしいとの要望がありました。競技団体内では手話通訳士育成のための予算を組むことが難しいとの課題もありました。

テーマ②

 テーマ③「聞こえるコミュニティとどうつながるか」では、ろう学校、ろうあ協会、競技団体それぞれの立場で持っている課題について話しました。ろう学校に通う生徒数の減少により、聞こえる学校に通学しているろう者の状況把握ができないという現状から、偶然ろう者を見つけ、そこでスカウトし確保したという体験談があったが、きちんと組織を活用しろう者の情報を確保するという連携を作っていくことが必要であることを確認しました。

テーマ③

 最後に2019年9月19日(木)~22日(日)に開催される第53回全国ろうあ者体育大会in鳥取・島根(http://torideaf.jp/publics/index/92/)のPRをし、多くの参加を呼びかけました。
 一日の長丁場にも関わらず、参加者は団体同士の関係作りやデフスポーツの普及・啓発などデフスポーツをどのように発展させていくか、熱心に討議を行っていました。