東日本大震災から5年を経て 3.11声明(手話動画)



 3月11日で東日本大震災から5年を迎えるにあたり聴覚障害者災害救援中央本部が「東日本大震災から5年を経て 3.11声明」を発表しました。

- 東日本大震災から5年を経て 3.11声明 -

 2011年3月11日、午後2時46分に発生した東日本大震災から5年目を迎えます。しかし、未だに将来に見通しを持てないまま厳しい生活を余儀なくされ、体調不良や疲労からくるストレスなどが原因で死亡する人達が後を絶ちません。また、福島第一原発事故後の放射線量の高い帰還困難区域、汚染廃棄物処理、健康不安への対応などの課題が多く山積し、解決できない状況にあります。

 このような状況の中、聴覚障害者災害救援中央本部では、今後起こりうる災害に対して、支援できる体制を維持するため、全国の仲間とともに防災への取り組みを強化するとともに、2回目の岩手、宮城、福島の被災3県への訪問調査を実施しました。訪問調査から聴覚障害者や手話関係者が今なお仮設住宅等で不安を抱えながら暮らしている現状が浮き彫りになりました。なかでも「実際、4年半が過ぎても『非日常』が日常化しただけで、何も復興していない」という言葉は私たちの心に重く響きました。
 また、普段からの聴覚障害者への理解促進を願うリーフレットを5千部作成して関係団体に配布し、災害時における聴覚障害者への支援の協力を依頼しました。
 さらに総務省をはじめ関係省庁には、「手話通訳や字幕などの情報保障の確保」「地域防災計画を策定する際の障害当事者の参画」などの要望書を手渡し、地域防災の聴覚障害者関連事項の充実を図るよう要望しました。

 各地域においても様々な取り組みが行われました。聴覚障害者災害救援福島県本部では、中央本部の助成を受けて「聴覚障害者防災マニュアル」を作成し、それを基に行政などの関係機関との連携を図るよう努めました。また、福祉避難所として滋賀県立聴覚障害者センターや富山県聴覚障害者センターなど行政と協定を結んでいる施設も増えています。東海地域においては、防災担当者会議を開催し、「東海ブロック内相互支援体制の構築及び主な役割と活動モデル(案)」を作成し、ブロック内の相互支援体制づくりに取り組んでいます。

 障害者基本法やこの4月から施行される差別解消法をはじめ手話言語条例など国や地方での法整備がされることにより、災害時において聴覚障害者が必要とする避難を促す情報伝達手段の確保、避難場所までの移動手段の確保、避難所・仮設住宅のバリアフリー化と生活支援などの整備がより強化されるものと確信します。
 二度と「逃げろ」という言葉が聞こえなかったということでは済まされない。そのためにも、聴覚障害者一人一人の命を守り、安心・安全を確保するため、全国の仲間と共に防災・減災に向けてさらに取組を強化していく決意をここに表明します。

2016年3月11日
聴覚障害者災害救援中央本部
運営委員長 石野富志三郎
 
〈構成団体〉             
一般財団法人全日本ろうあ連盟     
一般社団法人全国手話通訳問題研究会  
一般社団法人日本手話通訳士協会    

聴覚障害者災害救援本部について