国土交通省・観光庁へ聴覚障害者の福祉施策について要望書を提出



 2016年2月22日(月)全日本ろうあ連盟情報・コミュニケーション委員会は国土交通省・観光庁を訪問、聴覚障害者の福祉施策への要望書を提出し、意見交換を行いました。

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全日本ろうあ連盟 情報・コミュニケーション委員会 委員長 中橋道紀
全日本ろうあ連盟 情報・コミュニケーション委員会 副委員長 嶋本恭規
観光庁観光産業課

要望書を提出

連本第150600号
2016年2月22日

国土交通大臣
 石井 啓一  様

東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理 事 長 石野 富志三郎

聴覚障害者の福祉施策への要望について

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上にご理解ご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて当連盟は、2015年6月15日群馬県前橋市において開催された第63回全国ろうあ者大会にて、聴覚障害者の福祉施策に関する大会決議を行ないました。また、2016年4月より「障害者差別解消法」が施行され、障害者への合理的配慮のためにも、聴覚障害者への情報アクセス・コミュニケーション保障の整備が急務となっております。
 つきましては、下記の通り要望いたしますので、その早期実現をお願い申し上げます。

1.「障害者差別解消法」施行に向け、聴覚障害者が必要な情報を入手し、観光を楽しむことができるよう、観光地での情報アクセス・コミュニケーション保障のために、下記を要望します。
(1)全国の観光施設で紹介されている映像に字幕、手話通訳をつけてください。
(2)手話のできる観光ガイドの育成・配置を働きかけてください。
(3)ツアー中、添乗員等が集合・解散時間や重要な注意事項を案内するときの手段として手話も含める、もしくは手話通訳者を配置し案内するよう、指導してください。
(4)聴覚障害者がツアーに参加する場合、宿泊先においてテレビの字幕表示ボタン付リモコン及び振動呼び出し機を部屋とフロントに設置するよう、関係事業所に周知・指導してください。

<説明>
 聴覚障害者は音声情報が聞こえないために、観光地においても緊急災害時も含め、必要な情報が入らないことがあります。特に上記2-(4)は、国土交通省「障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針(案)」(旅行業関係)において合理的配慮の例に含めていただいているとのことですが、いまだに対応が難しい宿泊先も多く見受けられます。
 また、旅行中その土地の歴史、由緒等を知るためには、聴覚障害者自身が関心のあることや聞きたいことを観光ガイド等へ尋ねられることが大切です。
 観光施設・案内所などで手話ができる人材がいることは、聴覚障害者の観光地に対する関心を惹き、「手話」を含めた様々な言語に対応できる観光地として多くの人が訪れることにもつながるでしょう。
 京都市では、手話を必要とする観光客・滞在者のために、市が手話に関する施策を実施することを務めることを盛り込んだ「京都市手話がつなぐ豊かな共生社会を目指す条例(案)」の検討が進められており、今年度中に条例が成立する見込みです。

【参考】「京都市手話がつなぐ豊かな共生社会を目指す条例(案)」
 http://www.city.kyoto.lg.jp/templates/pubcomment/28/0000193113.html

 「障害者差別解消法」施行後、事業者が聴覚障害者への合理的配慮を行うことが求められるようになります。
 京都市のような例も考慮のうえ、上記のような聴覚障害者への観光地での情報アクセス・コミュニケーション保障を観光施設・事業者等に働きかけてください。

以 上