日本共産党国会議員団へ聴覚障害者にかかる政策に関する要望書を提出



 2015年12月16日(水)、日本共産党国会議員団 障害者の全面参加と平等推進委員会との懇談会があり、小出理事と石橋理事が出席し、聴覚障害者にかかる政策に関する要望書を提出、説明を行いました。

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連本第150494号
2015年12月16日

日本共産党国会議員団
障害者の全面参加と平等推進委員会
会長 小池晃様

一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野富志三郎

聴覚障害者にかかる政策に関する要望について

 日頃より、聴覚障害者の福祉向上について、格別のご理解とご協力を賜り、厚くお礼申しあげます。
 現在2016年4月1日より施行される「障害者差別解消法」の対応要領・対応指針のパブリックコメントが各省庁で進められ、また、現在「障害者総合支援法」の見直しが厚生労働省により行われております。障害者の社会参加の促進に寄与するこれらの法律において「アクセシビリティ」は重要な理念として掲げられており、この理念を具体化することが急務となっております。
 私たち聴覚障害者が社会参加に必要な「情報アクセス・コミュニケーション法」「手話言語法」も含め、以下のとおり要望いたします。

「障害者総合支援法」の見直しのうち、「手話通訳等を行う者の派遣その他の聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者等に対する支援の在り方について」

1-1.意思疎通支援事業の整備
 障害者差別解消法における行政サービス分野の合理的配慮と、障害者雇用促進法における合理的配慮のそれぞれの施行を控え、これらの合理的配慮の推進と、これまでの総合支援法による「聴覚障害者の生活全般を対象領域としてきた意思疎通支援事業」の今後の果たす役割を整理し、意思疎通支援事業についてのニーズや支援のあり方を改めて検討してください。

1-2.省庁を横断する取り組み
 合理的配慮に基づく施策により、基礎的環境の整備と共にアクセシビリティ政策を推進していくことで、社会のあらゆる分野、場面での意思疎通支援が十分に進展していくことが見込まれています。現在の意思疎通支援事業では、分野にかかわらず、意思疎通支援のための手話通訳者・要約筆記者等の設置・派遣を行っていますが、今後、各分野での基礎的環境の整備を進めていく中で、すべての分野において、意思疎通支援のための予算を確保し、その利用を推進することが必要です。合理的配慮や基礎的環境整備による支援の推進について、省庁を横断する取り組みを検討してください。

2-1.地域格差の是正
 手話通訳者派遣事業、手話通訳者設置事業は地域による格差が大変大きな事業です。必要なサービスを全国均一の仕組みで提供し、かつ地域の特性が生かされる仕組みとするためには、一般的な個人での利用、意志決定支援等と一体となる利用、複数あるいは不特定のろう者が利用、聞こえる人からの利用など、様々なケースに対する整理が必要です。相互性を有する意思疎通について、負担のあり方も含めて、十分な検討をしてください。

2-2.意思疎通支援・意思決定支援システムの構築
 手話通訳者は、相談支援事業と同様に、様々な障害福祉サービスを利用するための前提としての意思疎通支援の役割をも担っており、意思決定支援の側面も合わせて行ってきた実態があります。意思疎通支援と意志決定支援が一体になっているこれらのケースを鑑み、意思疎通支援・意思決定支援のシステム構築の検討をしてください。

3-1.中軽度難聴者や聴覚障害児への支援
 障害者の社会進出が広がり、意思疎通支援者に対するニーズも幅広くなり、専門的な知識を求められています。その一方で、障害により、十分な情報や教育を受ける機会を享受できなかった障害者の場合、意思疎通支援者は、意思決定支援も担いながら、障害者の地域での生活を支えています。また、身体障害者手帳の取得ができない中軽度難聴者や18歳未満の聴覚障害児等についても対応しきれていない状況です。すべての聴覚障害者の意思疎通支援のニーズを把握し、それらに対応できるよう意思疎通支援事業の対象範囲の設定や制度設計を検討してください。

3-2.講師養成システムの構築
 意思疎通支援者に対するニーズは幅が広く、その幅の広さ故に、意思疎通支援者を一元的に養成するということは大変困難な状況です。現在の「地域で養成する」手話奉仕員及び手話通訳者養成は、講師不足に悩む地域が多く、講師養成システムの構築が必要な状態に直面しています。講師養成のカリキュラムがなく、国、都道府県の財源状況によって講師養成の実施方法がまちまちという状態です。早急に地域での養成のありかたを検討するとともに、講師養成カリキュラムについても講師養成のかかる財源の確保を含めて検討してください。