NHK、内閣府、総務省、気象庁へ「聴覚障害者支援について緊急要望」を提出



連本第150343号
2015年9月17日

NHK 
 会長 籾井勝人 様

〒162-0802 新宿区山吹町130 SKビル8F
Tel 03-3268-8847 ・ Fax 03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野富志三郎

聴覚障害者支援について緊急要望

 日頃は私たち聴覚障害者への情報保障等に、格段のご配慮を頂き厚く御礼申し上げます。
 さて、この度、南米西部チリ中部沖を震源とする大地震が発生しました。ただいま、気象庁にて日本への津波の有無を調査しております。
 災害時には被災地における住民、そして被災地を見守る国民にとって、公共放送による迅速にして正確な情報提供はもっとも大切な情報源になります。 
 NHKは緊急警戒呼びかけの直後から緊急放送を行っていましたが、それには「手話通訳」はなく、万が一の事態が起こっても聴覚障害者は情報が得られずに対応が遅れてしまい、命を失う危険にいつも直面しております。
 当連盟は、これまでに災害が起こるたびに字幕と手話の付与をお願いしてきましたが、依然として改善されない状況が続いており、今回の9月17日午前11時の気象庁会見においても手話通訳が付いていない状況です。
 来年施行される障害者差別解消法では「合理的配慮」が求められますが、今なお聴覚障害者への対応に充分な姿勢が見られず非常に残念に思っています。
 貴協会が公共放送としての使命を果たされるよう下記の通り強く要望いたします。

1.緊急災害時におけるローカル番組を含むテレビ番組に、「手話通訳と字幕」の付与を行ってください。
<説明>
 「手話」について、手話ニュースを緊急放送したり、緊急災害時の放送番組には手話通訳を挿入して放送して下さい。
 前回いただいた回答によれば「手話通訳と字幕」付与を実施できない理由として技術面・人的配置の困難さをあげてられておりまずが、全く情報を配信していない状況は人命軽視であると思います。
 放送法第7条(日本放送協会定款第3条)によれば「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、且つ、良い放送番組による国内放送を行い又は当該放送番組を委託して放送させるとともに、放送及びその受信の進歩発達に必要な業務 を行い、あわせて・・・・」とされています。
 「公共の福祉のために、あまねく」と貴社が謳われているように公共放送だということを強く認識していただき、繰り返しますが、「公共」から聴覚障害者を排除することのないよう速やかに対応してくださいますようお願いいたします。
 なお、手話通訳を配置するにあたっての手配業務や経費など、必要とあれば支援できる可能性があります。共に取り組むこともできますので、それも含め、ご検討をお願いいたします。

2.緊急災害時に、特定非営利活動法人CS障害者放送統一機構に対し、ローカル番組を含むニュース、その他の必要な情報を速やかに提供してください。
<説明>
 特定非営利活動法人CS障害者放送統一機構が放送している「目で聴くテレビ」は以前ピクチャー・イン・ピクチャー機能を活用してNHK放送に「手話通訳と字幕」を付与した放送を実施しました。「目で聴くテレビ」を受信するアイ・ドラゴンⅡを持っている聴覚障害者・施設では、これにより地震情報を一般視聴者と等しく得ることができました。
 NHKは特定非営利活動法人CS障害者放送統一機構と連携することにより、緊急災害時の「手話と字幕」を付加した放送を実施することができます。

以 上

連本第150345号
2015年9月17日

内閣総理大臣 
 安倍 晋三 様

〒162-0802 新宿区山吹町130 SKビル8F
Tel 03-3268-8847 ・ Fax 03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野富志三郎

聴覚障害者支援について緊急要望(チリ津波)

 日頃は私たち聴覚障害者への情報保障等に、格段のご配慮を頂き厚く御礼申し上げます。また、東日本大震災以来、首相官邸における記者会見に手話通訳者を配置してくださり、誠に感謝申し上げます。
 しかし、首相官邸における記者会見の様子は、生中継やオンデマンドでは手話通訳つきで見ることができますが、NHKを含む各放送局のニュース番組には、手話通訳者が映されることはありません。そのため、せっかく首相・官房長官等が国民に向けて説明される内容も、聴覚障害者には伝わっていません。
 この度、南米西部チリ中部沖を震源とする大地震が発生しました。ただいま、気象庁にて日本への津波の有無を調査しております。
 災害時には被災地における住民、そして被災地を見守る国民にとって、公共放送による迅速にして正確な情報提供はもっとも大切な情報源になります。特別警報など緊急時の国民への呼びかけについて、首相・官房長官等の記者会見を行う際には、聴覚障害者に正確な情報を迅速に伝えるためにも、下記のことを強く要望いたします。

1.現在、官邸記者会見の手話通訳者は、話し手(首相・官房長官など)から離れて立ち、話し手とは別のカメラで収録されます。そのため、ニュース番組では話し手のみの映像が流されます。
 手話通訳者は話し手の横に並んで立ち、一つのカメラで収録することで同一画面に映るようにしてください。

2.官邸記者会見等、政府関係の発表をインターネットで配信するときは、必ず字幕、手話通訳を付けて正確な情報を聴覚障害者にも伝わるようにしてください。

以 上

連本第150344号
2015年9月17日

総務大臣
 高市 早苗 様

〒162-0802 新宿区山吹町130 SKビル8F
Tel 03-3268-8847 ・ Fax 03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野富志三郎

聴覚障害者支援について緊急要望(チリ津波)

 日頃は私たち聴覚障害者への情報保障等に、格段のご配慮を頂き厚く御礼申し上げます。また、東日本大震災以来、首相官邸における記者会見に手話通訳者を配置してくださり、誠に感謝申し上げます。
 さて、このたび、南米西部チリ中部沖を震源とする大地震が発生しました。ただいま、気象庁にて日本への津波の有無を調査しております。
 先ほど、NHKにて気象庁からの緊急会見がありましたが、字幕のみで手話が付与されておりませんでした。災害時には被災地における住民、そして被災地を見守る国民にとって、公共放送による迅速にして正確な情報提供はもっとも大切な情報源になりますが、聴覚障害者の国民に対する情報提供が置き去りにされている現状です。
 平成24年10月に「行政指針」の見直しを行い、「大規模災害等緊急時放送については、できる限り全てに字幕付与」「手話放送の実施時間をできる限り増加させる」等の目標を追加頂いたところですが、現在、実情としては国営であるNHKをはじめ民放各局とも特別警報に関する報道全てに字幕や手話が付与されておらず、聴覚障害者に各地域の避難行動につながるだけの情報が届いていない状況におかれております。
 東日本大震災における障害者の死亡率は、障害のない方に比べて2倍であったという事実を見据え、聴覚障害者の命を守る放送施策を推進して頂くためにも、打ち出して頂いた行政指針が実効のあるものとなるよう一層取り組んで頂ければと考えております。
 つきましては今回のチリ津波に関する「特別警報」などの緊急時報道に対して、以下のような施策・対応を頂くよう強く要望致します。

1.NHK、民放各社に対し、緊急災害時におけるローカル番組を含むテレビ番組には、「手話通訳と字幕」の付与を必須とするよう働きかけてください。
<説明>

・字幕が必要なのは聴覚障害者ばかりではありません。聞き逃したり、周りが騒がしく聞きづらいなど、字幕で情報を得ている方も多くいます。
そのため、直接、画面に字幕を挿入して放送するのが一番理想です。それが困難な場合は、字幕放送による字幕付加を必ず行ってください。

・災害時には居住地の様子を放映するローカル番組こそ、重要な情報源です。緊急災害の場合はローカル番組においても「手話通訳と字幕」を挿入してください。

・聴覚障害者向けの「手話ニュース」を緊急放送し、緊急災害時の放送番組には手話通訳を挿入して放送して下さい。

2.NHK及び民放各社に対し、緊急災害時にはローカル番組を含むニュース・その他の必要な情報を、特定非営利活動法人CS障害者放送統一機構に速やかに提供するよう、働きかけて下さい。
<説明>
 特定非営利活動法人CS障害者放送統一機構が放送している「目で聴くテレビ」では、災害時には聴覚障害者向けに緊急災害放送を実施しています。
 NHK及び民放各社より災害情報を提供いただくことで、聴覚障害者や聴覚障害者情報提供施設等では「目で聴くテレビ」により、「手話と字幕」付で一般視聴者と等しく情報を得ることができます。

以 上

連本第150346号
2015年9月17日

気象庁
 長官 西出則武 様

〒162-0802 新宿区山吹町130 SKビル8F
Tel 03-3268-8847 ・ Fax 03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野富志三郎

聴覚障害者支援について緊急要望(チリ津波)

 日頃は私たち聴覚障害者への情報保障等に、格段のご配慮を頂き厚く御礼申し上げます。
 さて、この度、南米西部チリ中部沖を震源とする大地震が発生しました。ただいま、貴庁にて日本への津波の有無を調査していると存じます。
 先ほど、2015年9月17日午前11時よりNHKにて気象庁からの緊急会見がありましたが、貴庁より手話通訳が配置されなかったため、放映時にNHKから字幕が付与されたのみでした。そのため、聴覚障害者にとっては十分に情報を得られませんでした。
 災害時には貴庁からの迅速にして正確な情報提供はもっとも大切な情報源になりますが、今回の緊急会見では聴覚障害者の国民に対する情報提供が置き去りになってしまいました。この緊急会見は私たち国民の有事にも関わる内容であるだけに大変遺憾です。
 来年施行される障害者差別解消法では「合理的配慮」が求められますが、このような緊急事態においては障害者への配慮は後回しになり、結果として障害者の被災者が多く生じています。貴庁が国民の安全を守る任務を果たされるよう下記の通り強く要望いたします。

「緊急災害時における会見および発表には全て「手話通訳と字幕」の付与を行ってください。」
<説明>
 気象庁より重大な警報を発表する際は、必ず手話通訳を配置して共に放映されるようにしてください。また、放映される際にも「字幕」を必ず付与するよう、各局に指導してください。
 なお、手話通訳を配置するにあたっての手配業務など、必要とあれば支援できる可能性があります。共に取り組むこともできますので、それも含めご検討をお願いいたします。

以 上