公明党へ聴覚障害者にかかる政策に関する要望書を提出



 2015年9月16日(水)、公明党障がい者福祉委員会のヒアリングがあり、久松事務局長と倉野理事が出席し、聴覚障害者にかかる政策に関する要望書を提出、説明を行いました。

連本第150334号
2015年9月16日

公 明 党
障がい者福祉委員会委員長 高木美智代様

一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野富志三郎

聴覚障害者にかかる政策に関する要望について

 日頃より、聴覚障害者の福祉向上について、格別のご理解とご協力を賜り、厚くお礼申しあげます。
 現在2016年4月1日より施行される「障害者差別解消法」の対応要領・対応指針のパブリックコメントが各省庁で進められており、また、現在「障害者総合支援法」の見直しが厚生労働省により行われております。障害者の社会参加の促進に寄与するこれらの法律において「アクセシビリティ」は重要な理念として掲げられており、この理念を具体化することが急務となっております。
 私たち聴覚障害者が社会参加に必要な「情報アクセス・コミュニケーション法」「手話言語法」も含め、以下のとおり要望いたします。

「障害者総合支援法」の見直しのうち、「手話通訳等を行う者の派遣その他の聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者等に対する支援の在り方について」

1.地域生活支援事業における意思疎通支援事業の予算確保と充実
 都道府県意思疎通支援事業は、県内全域から複数の聴覚障害者が参加する会議、研修・集会等の派遣、広域派遣の調整、専門的な派遣を担うための必要な予算を確保し、充実を図ってください。
 市町村意思疎通支援事業は、地域格差が大きく、派遣範囲が制限されているため、厚生労働省通達の「モデル要綱」に基づいた事業運営がきちんとなされるよう、予算を確保し、充実を図ってください。
   ※厚生労働省ホームページ
   http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sanka/dl/shien01.pdf
   →障企自発0327第1号/平成25年3月27日
    「地域生活支援事業における意思疎通支援を行う者の派遣等について」
    (都道府県及び市町村/意思疎通支援事業モデル要綱)

2.意思疎通支援・意思決定支援が一体になった事業の構築
 意思疎通支援・意思決定支援が一体になった支援が必要な聴覚障害者が多くいることから、聴覚障害者の障害の重さを正しく理解した上で、障害支援区分を見直すとともに、意思疎通支援・意思決定支援が一体になった事業を新規に構築することを検討してください。

3.障害者差別解消法と障害者雇用促進法に基づく環境整備のために
 障害者差別解消法と障害者雇用促進法による環境整備と合理的配慮に基づく意思疎通支援によって、手話通訳者派遣のニーズが増えることが見込まれています。
そのための必要な経費がきちんと支出なされるよう予算を確保し、その利用を促進するため、省庁を横断する取り組みを検討してください。

4.中軽度難聴者や聴覚障害児への支援
 障害者の社会進出が広がり、意思疎通支援者に対するニーズも幅広くなり、専門的な知識を求められています。その一方で、障害により、十分な情報や教育を受ける機会を享受できなかった障害者の場合、意思疎通支援者は、意思決定支援も担いながら、障害者の地域での生活を支えています。また、身体障害者手帳の取得ができない中軽度難聴者や18歳未満の聴覚障害児等についても対応しきれていない状況です。すべての聴覚障害者の意思疎通支援のニーズを把握し、それらに対応できるよう意思疎通支援事業の対象範囲の設定や制度設計を検討してください。

5.講師養成システムの構築
 意思疎通支援者に対するニーズは幅が広く、その幅の広さ故に、意思疎通支援者を一元的に養成するということは大変困難な状況です。現在の「地域で養成する」手話奉仕員及び手話通訳者養成は、講師不足に悩む地域が多く、講師養成システムの構築が必要な状態に直面しています。講師養成のカリキュラムがなく、国、都道府県の財源状況によって講師養成の実施方法がまちまちという状態です。早急に地域での養成のありかたを検討するとともに、講師養成カリキュラムについても講師養成のかかる財源の確保を含めて検討してください。

以  上