厚生労働省へ聴覚障害者の福祉施策について要望書を提出



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 2015年7月22日(水)、全日本ろうあ連盟福祉基本政策検討プロジェクトチームは、厚生労働省へ、聴覚障害者の福祉施策について要望書を提出し、意見交換を行いました。

【写真】
1枚目 右:小中副理事長
    左:厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 企画課
      自立支援振興室 地域生活支援係長 水村秀史氏
2枚目 左:厚生労働省
    右:福祉基本政策検討プロジェクトチーム

●厚生労働省要望交渉
 日時: 2015年7月22日(水)13:10~14:40
 内容: 聴覚障害者の福祉施策についての要望
 出席: 福祉基本政策検討プロジェクトチーム

出席者(計9名)
 小中 栄一  全日本ろうあ連盟
 永井紀世彦 全日本ろうあ連盟
 河合めぐみ 全国ろう重複障害者施設連絡協議会
 吉見 剛二  全国高齢聴覚障害者福祉施設協議会
 前田 定幸  全国聴覚障害者情報提供施設連絡協議会
 浅井 貞子  全国手話通訳問題研究会
  (職員1名+通訳2名)

連本第150196号
2015年7月22日

厚生労働大臣
  塩 崎 恭 久 様

一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎

聴覚障害者の福祉施策に関する要望について

 時下、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
 平素より聴覚障害者福祉の向上にご理解、ご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
 さて、全日本ろうあ連盟は、聴覚障害者情報提供施設、ろう重複障害者、ろう高齢者等の聴覚障害者福祉の関係諸団体とともに、聴覚障害者の福祉施策の充実のための施策について協議をしております。
 これまで関係団体が各々要望している事項をもとに、下記の通り統一要望として取りまとめました。
 つきましては、ぜひとも施策に反映して頂くとともに、必要な予算措置を講じていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

<要望事項>

1.全国の聴覚障害者が地域格差なく福祉サービスの利用ができるよう、社会福祉施設等の社会資源の整備を図って下さい。

(1)全ての都道府県及び政令指定都市に「聴覚障害者情報提供施設」を早期に設置するよう助成措置等の充実を図ってください。
また、防災・災害対策及び支援の機能を施設の役割の一つに加え、意思疎通支援のコーディネート及び養成担当者、相談支援担当者、IT指導員の人員増員を行うとともに、職員の昇給ができるよう運営費を増額して下さい。

(2)全ての都道府県に聴覚障害児や聴覚障害者が、情報アクセスとコミュニケーションのバリアなく、自ら選択する言語・コミュニケーションにより利用できる放課後等デイサービス、地域活動支援センター、グループホーム・ケアホーム、特別養護老人ホーム等の社会資源を計画的に整備して下さい。そのために、市町村単位だけでなく、広域で事業運営ができるように施策を講じて下さい。

(3)聴覚・ろう重複障害者が利用するグループホームにおいて、住居単位で「視覚聴覚障害者支援体制加算」が申請できるように改善してください。

(4)児童福祉法の障害児通所支援(児童発達・放課後等デイサービス)に「視覚聴覚障害者支援体制加算」を適用してください。

(5)高齢ろう者が利用できる介護保険サービスは限られています。高齢ろう者が、聴覚障害の特性に対する理解や配慮のない介護保険サービスを受けざるを得ない現状を改善するため、障害福祉サービスと介護保険サービスどちらも選択できるようにするなどの施策を講じて下さい。

2.介護保険制度に関して、次のことを講じて下さい。

(1)要支援1・2に該当するろう高齢者は、その障害特性により、今までどおり予防給付を行い、訪問介護と通所介護を介護保険給付から外さず利用できるようにして下さい。

(2)要介護1・2に該当するろう高齢者で希望する者全員が、特別養護老人ホームに  入所できるようにして下さい。

(3)ろう高齢者を受け入れる特別養護老人ホームには、コミュニケーション支援の加  算を追加して下さい。

(4)低所得の施設利用者の居住費・食費の補助(補足給付)を削減しないで下さい。補助の段階決定にあたっては、非課税の障害年金を算定対象に入れないで下さい。また、ろう高齢者を対象としている特養においては、入居ろう者の7~8割が障害基礎年金の収入しかない低所得者です。こうような特養においては、補足給付制度改定の関係で低所得者その多くが減免となった場合、その法人に過重な肩代わり負担が課せられます。このような不公平を是正する措置として、法人負担の軽減措置を講じてください。

3.聴覚障害者福祉に関わる人材養成・確保を強化して下さい。

(1)意思疎通支援事業を義務的経費の事業と位置付け、意思疎通支援のネットワークを確立するため、「情報提供施設」や市町村等への手話通訳者の設置(雇用)が推進されるよう講じて下さい。

(2)登録手話通訳者については、労働者として位置付け、労災保険に加入できるよう雇用契約を行うことにより派遣する制度として下さい。

(3)全ての都道府県で手話通訳者、要約筆記者の養成、並びに養成を担当する講師の養成を早期に実施するようにして下さい。

(4)自治体や情報提供施設において、聴覚障害を専門とする相談支援者の正規雇用を義務付けるとともに、相談支援者の研修事業を新設して下さい。

以 上