聴覚障害の認定方法の見直し(案)に対する意見を提出



●厚生労働省ホームページ
報道・広報>国民参加の場>パブリックコメント(意見公募)>その他のご意見の募集等>意見募集>聴覚障害の認定方法の見直し(案)について〈ご意見募集〉

募集期間:2014年12月18日(木)~2015年1月16日(金)
http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/p20141218-01.html

(参考)
2014年12月15日
第6回疾病・障害認定審査会身体障害認定分科会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000068916.html

全日本ろうあ連盟より下記の意見書を提出いたしました。

聴覚障害の認定方法の見直し(案)に対する意見

一般財団法人全日本ろうあ連盟 理事長 石野富志三郎

①認定方法のあり方について

  • 聴覚・言語の機能障害は、その程度や発症時期、他の障害との重複など様々な要因により障害の幅が非常に大きい障害です。また、発語や聞こえの程度も個人差が大きく、障害等級が軽いからと言って、生活への支障も軽いと言い切れない面があります。現在の聴覚障害の基準は、世界保健機構(WHO)の国際基準と照らして、日常生活や社会生活をする上で聞こえにくさがあり障害者福祉サービスを受ける必要のある聴覚障害者を大きく制限していると言えます。
  • 聴覚障害の認定基準の検討にあたって、身体障害者手帳交付申請用の「診断書」と障害基礎年金受給申請用の「診断書」がそれぞれありますが、障害者権利条約にもあるように、医学的観点だけでなく、生活のしづらさや意思疎通の困難さを診断項目に盛り込むといった「社会モデル」の考え方に基づいた見直しが必要であると考えます。

②他覚的聴力検査の実施について

  • 一部の聴覚障害者情報提供施設では現在、標準純音聴力検査、語音弁別検査、語音聴取域値検査、合わせてインピーダンス検査(鼓膜の動きをみる検査)の4つの検査を実施しており、これによって、詐聴か否かは判別できます。ABR等の他覚的検査はあくまでも補助的なものであり、あえて他覚的検査の実施を必須とする必要はないと考えます。
  • 他覚的聴力検査の実施について、「2級のみとする理由」と、「対象者は手帳の所持していない者(新規申請)とし、手帳所持者(更新)については不要とする」と分かりやすく明記するべきです。

③指定医の専門性の向上について

  • 指定医の専門性の向上は必要ですが、合わせて、臨床検査技師、言語聴覚士等、実際に検査にあたる者の専門性も求めるべきと考えます。
  • 単に他覚的検査の導入だけでなく、現行の判定に係る体制そのものの改善が必要であると考えます。聴覚障害者情報提供施設では上記4つ(補聴器を使っている人の場合は6つ)の検査を実施し、本人との相談の時間も取っています。一人あたり、1~2時間を要します。
    一般指定医は、こういった各種の検査と相談支援を行うことが少なく(極端なところでは純音聴力検査のみ)、医学的な診断だけで対応しているところが少なくありません。更生相談所等、相談支援機関と連携し、全体で支援していける体制が必要と考えます。