高松市の手話通訳派遣拒否裁判和解成立についての声明



高松市の手話通訳派遣拒否裁判和解成立についての声明
(高松市手話通訳・市外派遣拒否違憲訴訟)

2014年10月30日
一般財団法人全日本ろうあ連盟

<高松裁判和解成立>
 2012年2月28日、高松地方裁判所に提訴された表題の裁判は、原告である池川洋子さんだけの問題でなく、制度の問題であり、全ての聴覚障害者の問題でもあると受け止められ、高松市の手話通訳派遣を考える会と弁護団の結成、それを支える全国のなかま、手話関係者等によって運動がすすめられてきました。
 その過程で高松市は和解に先立ち、2014年4月1日に旧来の手話奉仕員派遣事業・要約筆記奉仕員派遣事業を廃止、同時に市外派遣、派遣範囲、対象の拡大を認める内容の高松市意思疎通支援事業実施要綱を施行しました。
 2012年2月28日に提訴してから、旧要綱の廃止、新要綱の制定・施行という形で2014年10月22日にようやく和解成立となりました(詳細は原告弁護団の「高松市手話通訳・市外派遣拒否違憲訴訟和解成立についての声明」を参照してください)。

<私たちの運動課題 ~障害者差別解消法の成立、障害者権利条約の日本批准の中で~>
 高松市の手話通訳派遣拒否問題は高松市意思疎通支援事業実施要綱の施行、和解成立によって解決をみましたが、2012年8月の第45回全国手話通訳問題研究集会in 高知で出された「高松市の手話通訳派遣拒否裁判シンポジウム・アピール」には、情報アクセスとコミュニケーションの支援が権利として保障される法制度の創設、支援の仕組みが全国一律に整備されること、手話通訳者等の支援者の身分が保障されることが掲げられ、弁護団声明でも、行政措置、立法措置への結実が訴えられています。
 今、私たちは、国に対して「手話言語法(仮称)」の早期制定を求める意見書採択運動に取り組んでいます。意見書が採択された地方自治体議会が全体の75%を超えていること、また、手話言語条例を制定する地方自治体が徐々に広がっていることは、聴覚障害者だけの問題ではなく、地域社会の問題だと理解され、受け入れることができるように社会が変わってきていることの証だと思います。
 この変化をさらに確かなものにするため、引き続き高松裁判で和解成立のきっかけになった「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」の意思疎通支援事業で示されているモデル要綱を基準に、すべての都道府県及び市町村で実施または運営されるよう取り組むこと、また、「情報・コミュニケーション法(仮称)」の実現に向けて運動を続けていきましょう。
 私たちは確信します。「諦めない。諦めてはならない。私たちの願いが届くまで」の想いが、いつでもどこにいても情報アクセス・コミュニケーションが当たり前に享受できる社会の成熟と法制定の大きな力となることを。

以 上