「聴覚障害の認定方法の在り方」に関する検討会にて意見書を提出



●第2回「聴覚障害の認定方法に関する検討会」ヒアリング
日時:平成26年9月2日(火)18:00~20:00
場所:厚生労働省(中央合同庁舎第5号館)共用第8会議室(19階)
出席:小中副理事長
資料:http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000054887.html(厚生労働省ウェブサイト内)

「聴覚障害の認定方法の在り方」に関する検討会(第2回/2014 年9 月2日)意見

一般財団法人全日本ろうあ連盟

①認定方法のあり方について
 聴覚・言語の機能障害は、その程度や発症時期、他の障害との重複など様々な要因により障害の幅が非常に大きい障害です。また、発語や聞こえの程度も個人差が大きく、障害等級が軽いからと言って、生活への支障も軽いと言い切れない面があります。現在の聴覚障害の基準は、世界保健機構(WHO)の国際基準と照らして、日常生活や社会生活をする上で聞こえにくさがあり障害者福祉サービスを受ける必要のある聴覚障害者を大きく制限していると言えます。
 聴覚障害の認定基準の検討にあたって、身体障害者手帳交付申請用の「診断書」と障害基礎年金受給申請用の「診断書」がそれぞれありますが、障害者権利条約にもあるように、医学的観点だけでなく、生活のしづらさや意思疎通の困難さを診断項目に盛り込むといった「社会モデル」の考え方に基づいた見直しが必要であると考えます。
 申請者にとっても、病院・行政にとっても手続きの煩雑さを解消するために、身体障害者手帳交付申請と障害基礎年金受給申請のシステムを連動させ、再構築させる必要があるのではないかと考えます。

②再認定の必要性の有無について
 障害基礎年金は、指定医による障害の状態についての「診断書」を踏まえて、受給資格の有無、年金の等級が決定されることになっています。
 障害の状態についての認定には、「永久認定」と「有期認定」があり、次に障害基礎年金の受給更新手続きとなりますが、先天性あるいは幼少時からの聴覚障害で障害の程度や状態が固定しており、今後も変動する見込みがないことが明らかであるにもかかわらず、「有期認定」とみなされ、数年に1回、指定医による「診断書」の提出を求められる「再認定」のケースが報告されています。
 全日本ろうあ連盟で、この「再認定」のケースについてアンケートを実施したところ、47都道府県のうち、12県(全体の25%)から、先天性あるいは幼少期からの聴覚障害であるにも関わらず「診断書」の提出を求められたケースがあることが分かりました。更に同じ「再認定」であっても、提出物に「診断書」が含まれる場合とそうでない場合とが混在しており、どのような基準により提出物が決められているのかが、分かりにくい状況です。
 乳幼児や突発的難聴・特発性難聴など進行性のある場合や等級4~6級の場合、「有期認定」とみなし、「再認定」が必要であることは十分理解しておりますが、等級2級のうち先天性あるいは幼少時からの聴覚障害は、障害の程度や状態が変動することはほぼ皆無に等しい状態であり、一定期間の「有期認定」後には「永久認定」とみなされるべきではないかと考えます。
 また、正確性及び公平性を持って認定がなされるよう、「永久認定」と「有期認定」の判断基準を統一し、都道府県・市町村に通達すると共に日本年金機構ホームページにもその基準を公開すべきであると考えます。

③認定に関する検討会の構成員選定について
 聴覚障害の障害認定や年金認定の検討にあたっては、聴覚障害の特性を把握している全日本ろうあ連盟をはじめ、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会、全国盲ろう者協会それぞれ聴覚障害当事者団体・関係団体の代表を検討会メンバーに加えるよう、強く要望します。