警察庁へ「聴覚障害者の福祉施策への要望について」を提出



連本第100459号
2011年1月4日

警 察 庁
 長官 安藤 隆春 様

162-0801東京都新宿区山吹町130SKビル8階
Tel03-3268-8847・Fax03-3267-3445
財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎

聴覚障害者の福祉施策への要望について

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上にご理解ご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、国連で障害者権利条約が発効し、日本においても批准に向けて、「障がい者制度改革推進会議」に障害当事者が参画し、国内法制度の見直し検討が始まっております。
 国におかれましても障害者権利条約の趣旨に基づいて「障がい者制度改革推進会議」の議論をふまえ、更なる聴覚障害者の福祉及び社会参加の施策推進をお願いしたく、下記の通り要望いたしますので、その早期実現をお願い申し上げます。

1.「道路交通法施行規則第23条」を改正してください。
(説明)
「道路交通法88条」の改正、及び2008(平成20)年度「施行規則第23条」の改正により、聴覚障害者へも運転免許取得の道が開けてまいりました。しかし、施行規則23条の免許試験(適正検査の聴力検査)は撤廃されず、また改正後も聴覚障害者が運転免許を取得できる車種が限定されるなど、依然として聴覚障害者の運転免許取得は制限されています。下記の通り、速やかに施行規則23条の改正をお願い致します。

(1) 施行規則第23条の免許試験(適正検査)「聴力:10mの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえるものであること」を撤廃してください。

(2)撤廃までの間、現行の施行規則第23条については、下記について早急に検討してください。

① 聴覚障害者が運転免許を取得できる車種を拡大してください。
(説明)
 昨年度の警察庁における検討委員会において、「特定後写鏡+聴覚障害者マーク」条件の聴覚障害者は、「荷物を運搬する車」はサイドミラーに補助ミラーをつけることで、オートバイや原動機付自転車等は無条件で運転免許を取得できるようにする方向で検討するべきである、との提言が出されました。
 聴覚障害者の運転免許取得は社会参加のためには不可欠です。この提言を今年度検討委員会により実現させるとともに、今後、中型・大型免許、第2種免許も含め、さらなる車種拡大を検討いただきたく、よろしくお願い申し上げます。
 特に第2種免許を取得することは聴覚障害者の雇用拡大にもつながりますので、今後車種拡大の検討に含めていただけますよう、お願い申し上げます。

2.聴覚障害者に対しては、教習所や試験場、更新時の教習等、免許取得までのあらゆる場面においての情報・コミュニケーション保障をお願いします。

(1)「特定後写鏡+聴覚障害者マーク」条件で運転免許を取得しようとする聴覚障害者に対し、教習所が入校を断らないように指導してください。
(2)教習所での学科教習時の「ビデオ教材」への字幕・手話通訳の挿入や、更新時の講習、試験場での情報・コミュニケーション等、補聴器使用者を含めての対応(手話通訳者等の予算措置を含む)をお願いします。
(3)2008(平成20)年の改正で3種の運転免許証が発行されます。交通取締り等で混乱が起きないよう、警察官の聴覚障害者への対応について周知徹底してください。

以 上