厚生労働省へ「チリ大地震の大津波情報について」を提出



連本第090644号
2010年3月1日

 厚生労働大臣 
  長妻 昭 様

〒162-0802 新宿区山吹町130 SKビル8F
   Tel 03-3268-8847 ・ Fax 03-3267-3445
財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野富志三郎

チリ大地震の大津波情報について

 日頃は私たち聴覚障害者への情報保障等に、格段のご配慮を頂き厚く御礼申し上げます。
 さて、今般、平成22年2月27日に発生したチリ大地震による影響で大津波警報が発令され政府も対策本部を設置しました。
 災害予報は被害を最小限に抑えるためにも公共放送による迅速にして正確な情報提供はもっとも大切な情報源になります。
 公共放送であるNHKは大津波警報を臨時ニュースで行っていましたが、それには「手話通訳」はなく、また「字幕放送」もありませんでした。広範囲にわたって津波警報が出され避難警報も発令されていましたが聴覚障害者に正確に情報が届いていたとは言い難く、画面を見ながら不安と心配を募らせるばかりでした。
 当連盟は、平成21年10月の台風の折にも、聴覚障害者への緊急災害時放送における「手話通訳・字幕」付与を要望しました。
 しかし、今回も同様に私たち聴覚障害者はテレビ放送から十分な情報が得られず、前回と同じ不安を味わうことになりました。
 ここに改めて下記の事項を要望いたします。

  1. NHK、民放各社に対し、緊急災害時においてローカル番組を含むテレビ番組に「手話通訳と字幕」の付与を必須としておこなうよう働きかけてください。
    <説明>
     字幕を必要としているのは聴覚障害者ばかりではありません。聞き逃したり、周りが騒がしく聞きづらいなど字幕で情報を得ている方も多くいらっしゃいます。そのため、直接、画面に字幕を挿入したものを放送して頂くことが一番理想です。それが困難な場合は、字幕放送による字幕付与を必ず行ってください。
     広範囲の警報が発令された場合、地域に暮らしている聴覚障害者にとっては、ローカル番組も重要な情報です。緊急災害の場合はローカル番組においても「字幕」を付与してください。
     
  2. 官房長官・省庁等の政府記者会見には手話通訳を立たせ、それを含めた画像を放送するよう放送事業者にご指導ください。
     
  3. 緊急災害時に、特定非営利活動法人CS障害者放送統一機構に対し、ローカル番組を含むニュース、その他の必要な情報を速やかに提供するようご指導ください。
    <説明>
     特定非営利活動法人CS障害者放送統一機構が放送している「目で聴くテレビ」は、3月に能登半島地震発生の1時間後からピクチャー・イン・ピクチャー機能を活用してNHK放送に「手話通訳と字幕」を付与した放送を実施しました。「目で聴くテレビ」を受信するアイ・ドラゴンⅡを持っている聴覚障害者、施設では、これにより地震情報を一般視聴者と等しく得ることができました。
     NHKは特定非営利活動法人CS障害者放送統一機構と連携することにより、緊急災害時の「手話通訳と字幕」を付加した放送を実施することができます。
     
  4. もし今後災害が発生し、避難所が設置されるようであれば聴覚障害者への情報保障に配慮をするよう、被災地域の自治体へ下記事項を働きかけてください。
     避難所に字幕放送が受信できるテレビの設置や、避難生活に必要な情報を伝達するためのホワイトボード等を準備するなど、聴覚障害者がいる避難所には聴覚障害者の存在・配慮を周知してください。
     聴覚障害者は字幕放送を見ることで、他の被災者と同じ情報を得ることができます。
     また、食料や避難物質の配布等、他の被災者同様に避難生活に必要な情報を得るための方策や配慮を被災地域の自治体に働きかけてください。

以  上