民主党へ「聴覚障害者の国際活動施策への要望について」を提出



連本第090586号
2010年1月21日

民主党 様

東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話 03-3268-8847・FAX 03-3267-3445
財団法人 全日本聾唖連盟
理事長 石野 富志三郎

聴覚障害者の国際活動施策への要望について

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、私たち聴覚障害者の福祉向上については、深いご理解とご配慮をいただき、厚くお礼申し上げます。
 さて、国連では2008年5月3日、障害者権利条約が発効しました。日本においても批准に向けて、国内法制度の見直しが求められているところであり、貴議員におかれましてもこの条約をふまえた聴覚障害者の国際活動の施策推進をお願いしたく、下記の通り要望いたします。

1. アジア太平洋各国政府の障害者支援の予算確保について

  • アジア太平洋各国政府の国際支援にはアジア太平洋障害者センター(APCD)だけではなく、障害者当事者が担うNGO組織、障害者当事者団体に関わる団体(手話通訳者組織、親の会組織)への資金支援が不可欠です。近年、国連障害者権利条約が発効後、障害者当事者の国際規模会議への出席機会が急増していますが、経済的に困っているNGO組織、障害者当事者団体に関わる団体
    (手話通訳者組織、親の会組織)が多く存在します。国連障害者権利条約に則り、各国の政府開発援助(ODA)に、障害者支援関連予算拠出を義務付けるよう働きかけて下さい。
  • アジア太平洋各国政府の国際支援の中に障害者分野を設置し、障害者団体との連帯を構築するように図って下さい。また、その為の審議・検討機関を設置し、障害を持つ当事者団体の代表が参画できるようにして下さい。

2. 国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)への障害者支援予算の増加について

  • 国連障害者権利条約に関するモニターリング機関を国連大学(渋谷区)に設置し、障害者当事者の職員もしくは専門官の雇用を図り、その予算を確保して下さい。
  • 国連障害者権利条約に関する啓発活動予算の設置、翻訳活動および全ての障害者向けへの啓発普及を図って下さい。

3.国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)会議へのアクセス保障について

  • 国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)会議での情報保障のための予算を設置して下さい。
  • すべての障害者のニーズに合った情報保障の為に、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)会議への同行する手話通訳者、要約筆記者、車椅子介助者、視覚障害者ガイドヘルパー、盲ろうガイドヘルパー等のための予算を増額して下さい。

4.国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)での会議におけるすべての障害者のための情報保障マニュアル策定について

  • 国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)内に、手話コミュニケーションができる職員を増やして下さい。
  • すべての障害者への情報保障を一層推進するためには、国連ESCAP内での理解だけでなく、NGO組織、障害者当事者団体に関わる団体
    (手話通訳者組織、親の会組織)との連携が求められています。手話通訳、要約筆記、パソコン要約筆記、点字資料の提供等、すべての障害者のための情報保障マニュアル策定について検討の場を設けて下さい。
    <手話通訳者の例>
    ①国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)会議など、その分野の専門的な内容による会議
      ・出席するろう者本人が、日常から使用している手話の通訳の配置
    ②NGO組織や多数関係者を対象としたワークショップ類のイベント
      ・国際手話通訳の配置

5.独立行政法人国際協力機構(JICA)による障害者分野での国際協力について

  • 独立行政法人国際協力機構(JICA)で実施される障害者分野での国際協力事業および施策について審議する為の委員会を設置し、委員に障害者団体の代表を選出するようにして下さい。その為の予算を確保し、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)と同様に情報保障を図って下さい。

以   上